出版社内容情報
中唐の詩人柳宗元は,政治改革を主導した廉で南方の永州に左遷された.いったん都に戻されるも,さらなる僻遠の地柳州に追放される.蹉跌に懊悩する心を鎮めてくれたのは,貶謫の地の自然だった.山水に心を癒し,花木の美に己れの矜持を重ねる.稀有な詩人は窮境を乗り越え
内容説明
中唐の詩人柳宗元は、政治改革を主導した廉で南方の僻遠の地に左遷される。蹉跌に懊悩する心を鎮めてくれたのは、貶謫の地の自然だった。山水に心を癒し、花木の美に己れの矜持を重ねる。稀有な詩人は窮境を乗り越え、遂に人間の真実に至る。魂の遍歴を綴る詩篇。
目次
第1章 永州の詩(山水の詩;花木の詩;望郷の詩;詠史の詩;友を思う詩;陶淵明への敬慕;その他)
第2章 北還の詩
第3章 南逐の詩
第4章 柳州の詩
1 ~ 1件/全1件
- 評価
手に入れた本の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
零水亭
5
唐代の詩人で特に自然を美しく歌った王維・孟浩然・韋応物・柳宗元の4人を、名字から「王孟韋柳」といい、『唐詩選』『三体詩』などに有名どころが収録されていますが、個人の詩集については王維を除いてなかなか日本語で読めるものがありませんでした。王維は4人の中で最も優れていると思いますが、他の3人の世界にも触れたくなります。この本は素晴らしいところに眼を着けたと思います。 (個人的な話で恐縮ですが、結婚した年に買いました。「焚書」攻撃(?)で古本屋に売られてしまいましたが…。機会があれば、また買いたいです)2020/06/30
shou
4
前半で広大な自然の抗しがたい情景を詠い、後半で心情を省みて達観に至る構成がスケールを感じさせていいなあ。『夏初の雨後に愚溪を尋ぬ』『雨後曉に行きて独り 愚溪の北池に至る』など。あとはやはり端的な『江雪』の情景。2015/04/26
Drone
2
どの詩も味わい深いが、 「漁父」がやはり好きだ。 稀代の名優がいなくとも、複雑なストーリーがなくとも、夜が明ける、ただそれだけで人は感動できることを思い出させてくれる。 この詩を題材にした「よあけ」の絵本もこの本で知った。こちらも名作である。
大臣ぐサン
1
漢詩は難しいよぉ。
鴨の入れ首
0
中国唐代(中唐)の文豪・柳宗元の詩集です。柳宗元の経歴や人柄がよく分かるように編集されており、大変味わい深い詩集でした。代表作「江雪」などから山水詩人としても名高い柳宗元ですが、その詩は単純な自然賛歌というだけでなく、望郷や懐旧や悔恨そして友情などいろいろな感情が様々な形で混じり合い、彼の芸術に奥行きを与えているように思いました。非常に面白くかつ興味深く読みました。良書だと思います。2024/07/12