岩波文庫
明治のおもかげ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 303p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003116210
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

明治から昭和の約半世紀を新聞記者として活躍した著者(1868-1954)は,雑俳の宗匠としても名を成していた.その機知と感性を存分に発揮した本書は,江戸のかげのまだ濃い明治の東京を淡々と何げなく綴っている.(解説=延広真治)

内容説明

縁日の遊び、雪の屋根船、幇間宗匠、湯治場の昔…。江戸のかげのまだ濃い明治の東京を、淡々と何げなく語る。明治から昭和にかけて『団々珍聞』を振り出しに半世紀を新聞記者として活躍した著者は、雑俳の宗匠としても名を成していた。粋人らしい機知と感性、ジャーナリストの観察眼が融合した1冊。

目次

下町と山の手(浅草;縁日の遊び ほか)
浮き沈み(陣太鼓;瘤幽霊 ほか)
世はさまざま(旅の恥;変な御馳走 ほか)
随感随筆(蜀山人;西洋の洒落 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

45
明治の風俗や食べ物、芸事そして人々を描いた随筆。読んでいると明治と江戸は地続きでそこで暮らす人々もまた然り。習俗等も面白いが、何といっても市井の人々の暮らしぶりや出来事がまた面白い。天井をガラス張りにして失敗した話とか刑事と泥棒の真似をした話とか、普通の明治の話には絶対に出てこない話ばかり。ここに書かれた失敗談などを読んでいると、落語を聞いているかのような駘蕩とした気分になってくる。読んでいると生活とかは今の方が便利だろうけど、なんとなく当時に比べ人生に「余裕」というものがなくなっているような気がした。2014/01/24

壱萬参仟縁

10
京都に「咄珍社(とつちんしゃ)」と言うノンキ連があった(99頁)。喧嘩を始める。衆目を集めた後でとんずらする(100頁)。なめたことといえば、なめたことだな。まさか、どこかの五輪招致と同じではないよな、と。「チョン髷画伯」が読書好き、商人嫌いなら僕と一緒だ(苦笑105頁)。「無筆」で、運の悪い時に都合の悪いもの。独身の明き盲でも稼ぐ腕があれば喰うには困らぬのに。草履下駄は廃り、靴の世の中。駒下駄雪駄の上等品が売れると、下等売れず(204頁)。これからのスタグフレーションを予期する。一九『木曾街道膝栗毛』。2013/09/11

slowlifer

2
1868年生れの文筆家(戯作・新聞等)による明治時代をしのぶ随筆集。明治時代のあどけなさ、おおらかさが印象的。庶民は娯楽も少いなりに、演劇、俳諧、芝居など風雅な遊びを楽しんでいたのだろう。(備忘録)羽織・袴・帯を知人に貸し、返却後の袂に質屋の通い帳/二上り新内。達磨、木菟、風車、・・・、賽の河原で小石積む/身の丈知らず臆面なし⇒自分のまずさがわかり萎縮⇒突き抜けると面白くなる/白河夜船の高いびき/利根川の川下り。便所は底抜け/椀のお代わり:米粒がついていればご飯。なければお湯/不義の富は栄えるためしなし2015/01/17

きゆやすか

1
明治は遠く...とはいえ不意に接点が出てくると俄然面白くなってくる。ここでは今の日本橋あたりから夜船に乗って銚子方面へ向かう話では、地元木下を通る記述が。また、今では繁華街の柏駅前へ日帰り旅行で茸狩りへ。たとへ遠くても、地続きなのです。2016/08/18

chiuchiu

1
従姉に借りて。江戸と明治は地続きということを思い起こさせる。雪の日に友人に誘われ夫婦ででかける話などは、さながら浮世絵を見ているようだ。狐にばかされる話も二三あり、生も死もどこか大らかでのん気でもある。またいつか読み返したい。2015/01/17

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