出版社内容情報
「大学3年で専門として当時はじまったばかりの量子力学をえらんだのはよかったが,何しろ新しい学問で専門の教官もおらず,勉強は困難をきわめた」後にノーベル賞を受賞した物理学者朝永振一郎(1906-79)が,ともに育った量子力学の歴史,くりこみ理論,素粒子の世界をやさしく語る.ノーベル賞受賞講演(英文)を収録.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
13
長岡半太郎先生(40頁)。数学物理学会(62頁~)。新量子力学の土台は1923年の関東大震災の時に置かれた(111頁)。第2の土台は、ハイゼンベルクの「運動学的力学的関係の量子力学的解釈がえ」が1925年。湯川先生はディラックの相対論的量子論、第二量子化の仕事(144頁)。先天性が後天性より優先すると朝永先生は思っていた(168頁)。ということは世襲容認か。機械が余計に労働を課すという矛盾も指摘(181頁)。素粒子は一つ一つが自己同一性をもっていないという点で粒子と異なったもの(259頁)。数式は少ない。2013/09/18
オザマチ
11
再読。他人の作った物を使うのではなく、新しい理論を作るための試行錯誤の日々。余裕がなくてそういった挑戦をやりづらい現代だからこそ、もっと読まれるべき書物だと思う。2024/12/24
キョートマン
11
量子力学の込み入った説明に関しては難しくて理解ができないところも多々あったけど、全編を通して興味深く読んだ。滞独日記の部分では半年以上も同じ無限大の問題に悪戦苦闘しているし、粘り強さと根気強さは大切だと思った。「くりこみ理論」をいつかは理解したいなー2021/08/16
オザマチ
9
私は物理や物性工学の専門家ではないため専門用語はさっぱりでした。しかし全体としては読みやすい文章で、朝永氏の物理学への取り組み方や熱意、当時の学生たちが量子力学という新しい潮流にいかにして挑んでいったか、ということを知ることができました。これほどの物理学者でも、人生に思い悩む時期があるのですね。2014/05/28
naotan
8
鏡の話を小学生の娘に読んで聞かせたら、めちゃくちゃ面白がってくれた。 正直、理解の追い付かないところも多かったけど、物理という学問にも、それを専門とする人にも魅力を感じる一冊でした。2025/04/10