出版社内容情報
今年、ウイルスを用いた日本初のがん治療薬が実用化された。外科手術、抗がん剤、放射線治療に替わる「第四の治療法」の開発秘話。
内容説明
二〇二一年、世界で初めて脳腫瘍を対象とした「がん治療用ウイルス薬」が日本で承認された。ウイルスを人類の「味方」にするという画期的な発想から生まれた「G47Δ」は、副作用が比較的軽く、あらゆる固形がんに適用できる。従来のがん治療を根本から変えうる治療法を確立した臨床医の長き闘いの全貌。
目次
第1章 革命的がん治療“ウイルス療法”
第2章 致死率一〇〇%の悪性腫瘍との闘い
第3章 がんを殺すメカニズム
第4章 G47Δ開発までの道のり
第5章 G47Δを、一日も早く患者さんのもとへ
第6章 日本への提言
第7章 がん治療の未来
著者等紹介
藤堂具紀[トウドウトモキ]
1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業。独エアランゲン・ニュールンベルグ大学研究員、米ジョージタウン大学助教授、米ハーバード大学マサチューセッツ総合病院助教授などを経て、2003年東京大学脳神経外科講師、08年より同大医学部附属病院トランスレーショナルリサーチセンター特任教授。11年より東京大学医科学研究所先端医療研究センター先端がん治療分野(脳腫瘍外科)教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のれん
13
ウイルス治療薬がまさかがん治療にすら使われるとは。副作用が格段に減少し、その効果も従来よりも強いまさに夢の治療法だ。 iPS細胞の山中教授もそうだったが、日本の研究所で、日本の知的財産として完成させたいという欲求は正しく素晴らしい国際研究者であり尊敬する。 だからこそ日本の縛り、特に新技術に対しての臆病さに関しては難題だなと感じる。ただでさえ臨床実験が手間かかる上に、望んでいてもウイルス治療法というだけでSTOPされるのは納得いかないだろう。 がんが不治の病でなくなる未来が一刻も早く来ることを祈るばかり。2022/01/16
くらーく
3
ウイルス療法薬G47Δ、一般名テセルパツレブ、製品名デリタクト注を確立するまでの経緯を、開発者?の藤堂教授が書いた新書だが、治療効果は素晴らしいね。ほぼ助からないと思った患者が寛解になるような事例もある。しかも、多くのガンに効果がある。これは凄いよね。あるがんにしか効果が無いとなると、薬代が半端ない値段になるし。まあ、安くなりすぎると国内で製造し無くなってなんて弊害も起きるけど、それはさておき。 ただ、人で効果を見始めたのが平成21年で、10年以上経っているよねえ。時間かかりすぎ。何とかならないのかねえ。2022/04/23
tai65
2
星5つ2023/10/22
takao
1
へー。2022/03/23
aki
1
腫瘍溶解ウイルスは完成していたのか。宝酒造の子会社のタカラバイオや創薬ベンチャーのオンコリスバイオファーマあたりが取り組んでいたのは知っていたが、アカデミア(著者は東京大学医科学研究所教授)が開発し、臨床試験も著者が行い、製造販売承認にこぎつけたとは。いろいろとわずらわしいことがあったと思うが、そうした「壁」を次々に突破していく、著者のプロジェクト遂行能力に驚嘆。いまのところ、脳腫瘍の一部だけだが、原理としては固形がんであれば、すべて使えるはず。他の部位の一刻も早い承認、保険適応を望みたい。2022/01/13