出版社内容情報
大正九年元旦から大正十四年七月九日まで、一日も休まず克明に書かれた日記から摘録する。人名索引付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
26
読んで面白い日記の代表として一葉に続いて読んでみた。岸田劉生(1891~1929)の1920~25年の日記。画家として大成功をおさめバリバリ仕事をしていた湘南鵠沼時代の半ばから書き起こされ、22年5月頃に古美術蒐集にハマり、13年9月に関東大震災で家が倒壊、京都に移って今度は茶屋遊びに身を持ち崩す。生来社交好きなので、仕事をするには鵠沼くらいがちょうどよく、京都では来客ひきも切らず、蒐集と遊びの金の工面もたいへんで何もできない感じ。前半の、麗子ちゃん(6歳~)が可愛く、劉生がやたら相撲をとる時代が楽しい。2023/11/05
緋莢
12
<今日より余は三十歳となる。新らしき心地幾らかする。>大正9年1月1日から大正14年7月9日まで岸田劉生が一日も休まず書き続けた日記を摘録した本。昔買った日記特集の『本の雑誌』の中で坪内祐三が、面白い日記として名前をあげていて、へぇー日記本が出てるんだと知り、興味を惹かれて手に取りました。岸田劉生といえば「麗子像」というぐらいの知識しかない自分なので、麗子に関する記述、運動会に行ったり、お風呂に入れる(最初は劉生と一緒に入るのを嫌がったが、入れたら喜んだ なんて書かれています)(続く2025/06/02
讃壽鐵朗
2
絵画、画家に対して興味ある人たちには面白い日記であろう2016/04/22
moi
1
解説内「布団を幾枚かけて寝たとか、雑煮の餅を幾つ食べたとか、というのはまだしものこととして、やたら相撲ばかりとっているし、癇癪を起こしては反省し、また家族の安寧を祈るのと同じように、骨董漁りの旨くいくことを念じたりして、頻繁に「神よ助け給え」とか「神よ許し給え」などと記している。」まさしくである。2025/06/10
久恒啓一
1
38歳で亡くなった岸田劉生の30歳の正月から5年間の毎日の日記である。 この人の全集は全十巻なのだが、二期は全五巻であるから、文章もうまかった画家の代表書籍といってもよい。 自分が描いた挿絵もうまい。 武者小路実篤、木村荘八、志賀直哉、梅原龍三郎、中川一政、山本鼎、倉田百三、など同時代の友人たちの名前が頻繁に登場する。 「これからずっと続けたく思う。一冊、一年中の事がこの日記に記されたら不思議な味の本になる。」と日記を書く事にした決心を語っている。その通りの味のある本に結実している。 2014/10/11