出版社内容情報
「私は津軽に生れ,津軽に育ちながら,今日まで,ほとんど津軽の土地を知っていなかった」.1944年,太宰治は初めて津軽地方を一周.郷里の風土や人情を,ユーモアをこめて描いたふるさと再発見の書.
内容説明
「私は津軽に生れ、津軽に育ちながら、今日まで、ほとんど津軽の土地を知っていなかった」。戦時下の1944年5月、太宰治は3週間かけて初めて津軽地方を一周。郷里の風土や歴史、自らにも流れる津軽人気質に驚嘆、慨嘆、感嘆の旅は、やがてその秘められた目的地へと向かう。ユーモアに満ちたふるさと再発見の書。
目次
1 巡礼
2 蟹田
3 外ヶ浜
4 津軽平野
5 西海岸
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
86
太宰治の故郷を巡る津軽風土記。序編は太宰にとって年少の思い出の地となっている金木、五所川原、青森、弘前、浅虫、大鰐について。次いで、本編の〈巡礼〉〈蟹田〉〈外ヶ浜〉〈津軽平野〉〈西海岸〉の5篇。中でも、太宰の養育にあたった、たけと運動会が行われている小屋で再会を果たす〈西海岸〉がいい。含羞の人、そのものである。「岩木山はやはり弘前のものかも知れないと思う一方、また津軽平野の金木、五所川原、木造あたりから眺めた岩木山の端正で華奢な姿を忘れられなかった。西海岸から見た山容は、まるで駄目である」と書いている。→2024/03/28
Willie the Wildcat
83
竜飛の宿で耳にした童女の八十八夜と、深浦での”兄の勢力”。沈静な故郷に、抗えない”家”を再認識。戸惑いと揺れ。対照的に、亡き弟と竹さんが心の鎮静剤。道の義や林檎、そして弘前の件にも、故郷への想いが滲む。竹さんとの再会は、兎に角微笑ましい。出だしのチクリとした一言も愛情の裏返しであり、照れ隠しと推察。旅のきっかけは出版社だが、ルーツを辿り振り返る路。その後の作品にもれなく影響したものと推察。『故郷』の最後の場面での兄姉との交流も、時間を経たことで旅の深みになった気がする。それにしても大酒飲みだなぁ。(笑) 2018/07/24
たつや
58
太宰の師匠、佐藤春夫が、「他の作品をすべて抹消しても、この一作さえあれば太宰は不朽の作家の一人と云えるだろう。」と、絶賛していたそうだ。しかも、文学史上最高の喜劇作家だ。ギャグが満載というわけでなく、「富岳百景」の津軽版都でも言うのだろうか?確かにおもしろい。2017/05/15
sosking
13
まず、ページを開いて「津軽の雪」の所で、新沼謙治の「津軽恋女」のサビの部分が何度もリフレインしてしまった。7つの雪とは東奥年鑑に載っていたのねと改めて知った。さて、肝心の感想であるが、なるほど太宰の「フィクションの天才」の意味が分かる解説であった。作中の大半で、太宰自身をプライドが高い割に優柔不断で諦め癖が強い印象を読者に付けさせておく事で、ギリギリでタキの所に辿りつくクライマックスを演出している上手さが逸品なんだろうな。2026/01/07
tjZero
9
太宰の文章って、青森出身らしい朴訥で剛毅な部分と、東京の風に染まった洒脱で軽妙なところとが入り混じっているのが魅力。本書は、そんな彼のルーツである津軽を訪ねる紀行文。愛憎入り混じった、故郷への思いに胸打たれる。「肉親を書いて、そうしてその原稿を売らなければ生きて行けないという悪い宿業を背負っている男は、神様から、そのふるさとを取りあげられる」(P.134)。2020/12/15
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