出版社内容情報
監獄(プリズン)より愛をこめて! 笑い満載のオムニバズ『独房』と伏字に削除でまさに満身創痍の遺作『党生活者』。弾圧下の共産党員の苛烈な日々と人々の群像。工場への隠処(アジト)へ街頭へ、迫る危機と手を握り、闘う多喜二の東京小説。
内容説明
監獄より愛をこめて!俺は南房No.19共犯番号セ‐63、囚人いかに生くべきか。笑い満載のオムニバス「独房」と伏字に削除で満身創痍の遺作「党生活者」。共産党大弾圧時代の党員は工場へ隠処へ街頭へ―その苛烈な日々。闘う多喜二の東京小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
共産党弾圧時代は闘いの時代でもあったのですね。苛烈な日々を描いたことで、当時の人々のあり方が伝わってくるようでした。2022/08/26
優希
44
再読です。『党生活者』が身に刺さりました。日本労働史の苛烈な日々と戦う姿がありありと浮かんでくるようでした。共産党大弾圧の時代は闘いの時代であったのだと改めて思わざるを得ません。2024/02/09
メイロング
2
あれ、笠原は? 独房はコミカルとリアルが同居した感じで好き。党生活者は、むしろ蟹工船より現代的にぐっとくる向きが強いと思う。発表当時も笠原問題があったことが解説で書かれていたけど、現代なら小説の主人公が道徳的な人間でなくてもいいとわかるんだけど、当時はそうじゃなかったのかな。ラスト近くで主人公の名が佐々木だと明らかになったのがびっくり。そういえば小林多喜二は私小説じゃなかったね。2019/12/07
風斗碧
2
『独房』もっと暗い、重苦しい話だと思っていた。明るく朗らかで、自分の信念に負けずに生きる強さを感じる。多喜二はきっと男にも女にもモテたろう。 『党生活者』社会の戦争への傾倒や、生活の貧困度が増していく具合と共に、佐々木の生きることへの偏りと窮屈さが顕著になってくる。貧困と労働者への戦いと言い乍ら、笠原への経済的・物質的依存が高まっている。折しも、今日の折々の言葉は金子光春の「自身の業の重み」についての話だった。労働組合やストライキの行使など、彼らの社会闘争の上に、今の生活があることも事実なのだ。2018/02/22
てつこ
1
初めて読む小林多喜二。独房は刑務所内でのエピソードをユーモラスに描いた作品。党生活者は、工場内の細胞を増やすために活動を行う「私」の非合法な生活を描く。笠原との関係は、無意識なのか割り切っているのか分からないけど、労働者の地位を高めるための活動をするために小市民を犠牲にする「私」に違和感を感じる。あとがき見たら、当時もこの2人の関係性が論争点になったらしい。母親との再会のシーンが切ない。2019/03/03




