岩波文庫
愛と認識との出発

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  • サイズ 文庫判/ページ数 370p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003106730
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

善とは何か、真理とは何か、友情とは何か、恋愛とは何か、信仰とは何か―。自分自身が考え抜いたプロセスをそのままに記した著者20代の論考17篇を収録。刊行されるや、大正‐昭和の旧制高校生の間で「伝説的」愛読書となった。『出家とその弟子』とともに倉田百三(1891‐1943)の代表的著作。

目次

憧憬―三之助の手紙
生命の認識的努力
異性の内に自己を見出さんとする心
自然児として生きよ―Y君にあたう
恋を失うたものの歩む道―愛と認識との出発
隣人としての愛
隠遁の心持について
愛の二つの機能
過失―お絹さんへの手紙
善くなろうとする祈り
他人に働きかける心持の根拠について
本道と外道
地上の男女―純潔なる青年に贈る
文壇への批難
人と人との従属
「出家とその弟子」の上演について
千手観音の画像を見て

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

96
この本も懐かしい気持ちで手に取りました。高校時代に背伸びして友人と一緒に読んだのですが、一部しか(「過失」など)わからなかったことを思い出しました。いま読み直してみると西田喜太郎の「善の研究」に敷衍しているところが多く男女の関係あるいは恋愛感情などをかなり難しく分析しているような気がしました。「善の研究」も読んだことがありますがさらに難しいというイメージしか残っていません。2023/01/10

lily

38
100年前の東大ではこれが最も読まれてたそうな。西田幾太郎、ショーペンハウア、ドストエフスキー、トルストイの放射能を浴びると癌患いの愛と性の論文集になるのは納得。熱い名言も多い。2019/07/06

佐島楓

19
大正時代のベストセラー。「出家とその弟子」で有名な著者の思索をたどった作品。若い感性でしかこうは書けないであろうと思うほど、まっすぐに愛や善とは何かと追求し、煩悶したさまが著されている。尊敬の念を抱かずにはいられないほどの純粋さである。特に恋愛から失恋にいたる過程などは、今の若者でも理解できる普遍性があると感じた。せめて20代の頃に読んでおきたかった。2013/01/05

michel

17
★4.2。すっと入ってくる所と、何度も読み返さねばならない所と…すごく時間が掛かった。哲学とは、ここまで自分の頭の中をグリグリグリグリ撫でて引っ掻いて思考することなんですね。「善とは何ぞや」「真理とは何ぞや」「友情とは何ぞや」「恋愛とは何ぞや」「信仰とは何ぞや」。青年期にこのような最深的に思考力を鍛えておけば良かった。さすれば、私は、私の個性の行くべき真っ直ぐな公道に立っていたのだろう。母子の愛も性愛もエゴイスティックな愛であり、真の愛とは普汎的基督教的な愛か。ふむふむ、私にはどちらも欠けてるな。2019/02/03

おせきはん

16
1943年に旧制第一高等学校の学生に実施した調査で、最も愛読された書物の第一位になった本です。西田幾多郎の『善の研究』に関する考察、自身の失恋経験などの著者の魂の叫びが若者らしく熱く率直に綴られていて、読み応えがありました。2019/09/24

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