岩波文庫復刊
子をつれて

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  • サイズ 文庫判/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003105610
  • Cコード C0193

出版社内容情報

自然主義的私小説の伝統に立つ葛西善蔵(1887‐1928)は大正期の文壇に特異の作風をもって登場した.その多くの作品が人間生活の暗さの面を描いているにもかかわらず,なにか飄逸な一種の風格と詩情を漂わせている.解説=谷崎精二

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

13
☆☆☆☆ 読むにつれ痛々しい気分が充満していく。特に後期の「湖畔手記」「血を吐く」はそれにそこはかとない清冽さが加わり、まるで枯淡の境地となった。生き方としては決して肯定できるものではないが、その作品は何故か心に残る。どこか人を惹きつけるところが葛西善蔵にはあるのかもしれない。2015/01/20

モリータ

11
今週は作業に追われそうなので短編にしようと思って手に取った…けど、「哀しき父」とか「血を吐く」とか、気晴らしにはほど遠いわ!笑 2012/09/25

鷹ぼん

5
『奇形患者』『不良児』以外は講談社文芸文庫で既読だが、本書は年代順に作品が配されていているので、葛西の身の上に何が起きたか、それによってどう心が変わっていったのかがよくわかる。ここらは編集の妙。『哀しき父』と表題作の『子をつれて』から『不良児』あたりまでは悲惨で情けない中にも、どこかにユーモアを感じるあたり、心に余裕もあったんだろうが、『おせい』以降、追い詰められた悲壮感が漂う。おせいの存在が次第に大きくなり、疎ましくもあり愛おしくもありというのが伝わってくる。『湖畔手記』から『血を吐く』は圧巻だった。2022/08/23

Gen Kato

3
「君は自分に得意を感じて居る人間が、惨めな相手の一寸したことに対しても持ちたがる憤慨や暴慢というものがどんな程度のものだかということを了解していないからなんだよ」…この一節はつらい。まさにいじめや迫害の基本。この主人公、確かに同情しにくいからよけいに厳しい…2014/04/18

ウイロウ

3
処女作「哀しき父」を含む九篇。正字正仮名だとやはり雰囲気が出るうえ、作者一流の露悪と自己憐憫に満ちた文章もすんなり受け入れられるから不思議だ。「蠢く者」について、解説の谷崎精二は「エゴイズムの上に腰を下してしまった點が此の作品の明朗さを曇らせてゐる」と手厳しいが、私にしてみれば、本作はまさしく「エゴイズム」の烈しさゆえに最も強く印象に残る。直前に置かれた「おせい」との落差がすごい。また「椎の若葉」「湖畔手記」では、そのおせいをめぐる悩みと同時に、「もつと美しくある」べき生活への憧憬が吐露されていて感動的。2012/09/23

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