出版社内容情報
1918(大正7)年,児童雑誌『赤い鳥』を創刊,低俗な教訓性や娯楽性で成り立っていた従来のお伽噺を「子どもの心の特殊性に即した」童話にまで高めた作品を掲載,児童文学史に大きな足跡をのこした小説家,鈴木三重吉(1882-1936)の童話集.「湖水の女」「黄金鳥」「ぶしょうもの」「やどなし犬」「大震火災記」など13篇を収録.
内容説明
1918(大正7)年、児童雑誌『赤い鳥』を創刊、低俗な教訓性や娯楽性で成り立っていた従来のお伽噺を「子どもの心の特殊性に即した」童話にまで高めた作品を掲載、児童文学史に大きな足跡をのこした小説家、鈴木三重吉(1882‐1936)の童話集。「湖水の女」「黄金鳥」「ぶしょうもの」「やどなし犬」「大震火災記」など13篇を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
30
☆4 いいじゃないですか三重吉の童話。『古事記物語』でのうんこネタオンパレードは鳴りを潜め(あれは三重吉じゃなく古事記が悪い)世界各地のバラエティ豊かなお話が起承転結もしっかりと。『走れメロス』と同じ元ネタのものもあれば『ワンピース』のベッジみたいな能力持ちもいてね。最後に収録された関東大震災の話は周辺国の反応を記述しているのがよかったな。2022/02/08
ともとも
28
神話や伝承ぽかったり、落語の様であったり・・・ それでいてメルヘンチックなのですが、どこか教訓めいていたり、悲しかったり 幸せいっぱいだったり、さらには、関東大震災のルポも書いていたりで、どことなく『方丈記』の鴨長明を思い浮かべながらも、子どもでも大人でも楽しめて、心温まる時代児童文学がいっぱいつまったある1冊で良かったです。2016/10/13
いの
21
願いは理想的な形となってファンタスチックな景色をみせてくれます。童話ならでは。人の善を刺激する読みものであると同時に厳しい視線も感じとってしまいました。この中で「岡の家」は私自身の子供の時の記憶のなかに戻ることができました。夕日に反射してキラリと光っているものを探しに行く子供の頃の私に。神様にいただいた時間のことや学びの在りかたを促す父親と、男の子がその答えを持って帰るところがいいです。「大震火災記」では二次被害の恐ろしさを生々しく語っており災害への意識が引き締められました。2019/12/26
佐島楓
19
びっくりしてしまうほど残酷な女性の話が続いて大丈夫か、当時なんかあったのか・・・? とはらはらしていたら毛色の違う作品も収録されていてほっとしました。グリムかペローか日本の古典か、というような話もあり、わんこと暮らす身としては「やどなし犬」にぐっときました。「大震火災記」に関しては記録しておくことが大事なのだよなあと思いますが当時の悲惨な状況に直視できない文章も。漱石と仲が良かったのと「赤い鳥」の創刊者という認識しかなかったのですが、今回読んでみて個性的な世界を書く方だと感じました。2012/04/22
michel
18
★4.0。神話のようなファンタジーのような。児童文学の道徳性と幻想美。すーっと音もなく侵入してきて心を正し、満たしてくれる。◆「湖水の女」:一番上の男の子が印象的。母と空へは行かず、父を見捨てずに残るという優しさ。◆「岡の家」:目は外に向いて付いているので、外ばかり見てしまう。"内省"には、遠足に行って全くのよその世界に身を置くことから始まる。他を知り己を知る…遠足に行こう。◆「ざんげ」:真の苦しみとは、自らの正義に蓋をすること。他人を疑うこと。それらの苦しみから解き放たれた時、私なら何を見るのか。2019/12/29