内容説明
考証随筆家・喜多村〓(いん)庭(安政三年没)の江戸百科事典。(五)は巻之十一「商賈」(問屋・物の売声など)「乞丐」(聖・作り山伏など)、巻之十二上「禽虫」(猫も杓子も・蚯蚓・川釣など)、同下「草木」(桃栗三年・活花など)、及び「付録」を収める。
感想・レビュー
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jinginakineko
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ようやくシリーズ読破。同種の本としては『守貞謾稿』のようにイラストがなくわかりにくいが、著者は実は絵も上手いらしい。何か考えがあったのだろう。 漢文の引用には歯が立たない部分も多かったが、取り上げられる項目は興味深いものばかりだった。本巻だと「猫」や「浄瑠璃」の記述など楽しませて貰った。描く対象は古来からの様々な書籍を突き合わせて語意が吟味されており、そのアプローチは言語学者の萌芽を思わせた。言葉にまつわる愉快な伝説などはだいたい「真にあらず」で斥けられ、地道な解釈がなされていたのが印象深い。2022/01/10