出版社内容情報
女形は楽屋にても女形という心を持ち,立役と並んでむさむさと弁当など食べてはならない.たとえ寸法通りでも,傾城買いの舞台に脱ぎ捨てる草履が大きくては見物は興醒めである.元禄期の名女形芳沢あやめ,和事師の祖とされる初代坂田藤十郎など,名人上手と称せられた歌舞伎役者たちの語った心得や逸話を集めた芸談集.
感想・レビュー
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壱萬参仟縁
9
書名読み方は「やくしゃばなし」(7頁)。「人の金をかへさずはらひもせず。家をかひ。けつかうなる道具を求め。ゆる〜と暮す人と。相手のそこねる事をかまはず。我ひとり當りさへすればよいと」(25-6頁)。エゴと商人と宝くじのような感じ。「下手を上手に見する様にするが。藝者のたしなみなり」(27頁)。あまり騙してはいけませんぞ。藤十郎に台詞のスピードについて問うている。「はやかろわるかろ大事なし。(略)早きはこらへらるゝ。おそきはわろき中のわろき也」(37頁)。早く正確に、がいいに決まっているが、遅いのはダメか。2013/12/19