出版社内容情報
江戸時代の桂園派の代表的歌人,大隈言道(1798‐1868)の歌集.芋・ぼうふら・風車など従来の和歌では題材にならなかったものもとりあげるなど,日常の身辺のあらゆる事物を題材とし,奇抜な発想と古今風の軽みを特色とする.この歌集は門人たちの助けをかりて971首を自選したもので,明治31年,佐佐木信綱によって紹介され,世にしられるようになった.
感想・レビュー
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双海(ふたみ)
21
佐々木信綱博士が明治三十一年の夏の夜、神田の古本屋で偶然見つけ、その斬新なる歌風に驚嘆せられたという歌集。大隈言道は田舎にいたから名も立たず、人にも忘れられやすかったが、幸いに佐々木博士に見つけられて近世歌人の大家の仲間入りをした。2015/02/05
壱萬参仟縁
17
故郷 216 いえもなくなりぬる おのが故郷の道しるべ する駒のかなしさ(48頁)。秋風 260 あき風に かどのたのいなご ふかれきて をりをりあたる まどのおとかな(57頁)。川紅葉 292 ちりしける 汀のもみぢ うかびきて みればしぐるゝ 川上のさと(64頁)。きり 671 野も山も けさたちこめて 誰里も見えぬ霧こそ 見わたされけれ(134頁)。虹 858 あさくらの 夕山こえて よそのせに うつろふ虹の かげをみる哉(168頁)。2015/10/17