出版社内容情報
「平治物語」とともに日本文学で最初の完成された軍記物語である.鳥羽法皇崩御によって風雲しきりに動きついに崇徳院が讃岐の地へ流されるまでの約1カ月の経緯を中心とし,源平両氏が合戦の衝にあたり,骨肉相殺傷する悲劇である.為朝はここに全局を支配する花形役者として大写しに描かれ,いわば為朝の英雄譚ともいうべきものである.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
21
同族相剋の源氏が印象的なため、メインと思われる上巻よりも下巻の方が面白かったです。文章のテンポがいいため読みやすい一冊です。2022/04/07
マッピー
20
物語といっても小説ではない。わかりやすく言えば『実録・保元の乱』ってところでしょうか。年中行事について細かく記録したのが貴族の日記とすれば、大きな出来事についての記録となっています。本当に面白いのは、乱に至るまでの経緯なんですよね。同時代人に向けて書かれている記録書なので、どうでもいい人名はしつこく書いているくせに、肝心な人名は恐れ多くて遠回しにしか書いてくれていない。『保元物語』は、児童書かマンガで読んだ方が絶対面白いと、今回原文で読んで思いました。誰か書いて。2025/01/17
ダイキ
5
清々しきかな鎮西八郎爲朝、嗚呼。「是は何と云事ぞ。敵すでに寄来るに、方々の手分をこそせられんずれ。只今の除目物惣也。人々は何にも成り給へ。爲朝は今日の蔵人とよばれても何かせん。只もとの鎮西の八郎にて候はん」2017/02/19
garyou
3
為朝がモンスター過ぎる。「連邦の白いヤツは化け物か」つてかういふ時に使ふんだらうな。義経はほんたうは義朝の八男だけど叔父にはばかつて九郎と名乗つたといふ説や、弱過ぎてはづかしいからといふので流れて行つた弓を取りに行つた話が生まれるのもむべなるかなといつたところ。清盛が忠正を殺した理由も凄まじい。2014/10/22
ダージリン
2
保元の乱、平治の乱に少し関心を持ち保元物語にチャレンジ。現代語訳ではないので怯むところもあったが、短いこともあって意外とすんなり読めて良かった。何となく最近は歴史と言えば戦国か明治維新という感じだが、この辺の時代をもっと取り上げても良いのではと思う。2015/10/01