出版社内容情報
文徳天皇から後一条天皇の万寿二年までの十四代百七十六年間の事跡を紀伝体に叙し,藤原氏一門の栄華の様を描いた歴史物語.摂関政治を彩った人々の華やかな生活とその裏面とが簡勁な筆致で描かれ,従来の歴史物語と異なる新しい歴史像が浮彫りにされている.最古の完本たる東松本を底本とした.
感想・レビュー
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NAO
23
雲林院の菩提講にやって来た百歳越えの老人たちの昔語りという設定の、紀伝体の歴史書。天皇紀では、藤原家の政争のためにだまされて退位出家させられた花山天皇の話が印象的。宮中退出後ろに阿倍晴明が天変に気づいて式神に調べに行かせたが時にはすでに遅かったというあまりの悲運。大臣列伝では、藤原時平に左遷させられた道真が雷神になった話を始めとして、百鬼夜行に遭遇するとか、鬼を退治したとか、悪霊にたたられるという話も多くみられ、平安人たちの心理状態や心の闇がおもしろい。そんな中での道長の闇夜の肝試しは、かなり異色。 2017/01/22
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