出版社内容情報
20巻の第2番目の勅撰集.「古今集」後,わずか46年の天暦5年10月詔を承けてこれの編纂がはじめられた.本書を第2の古今集のように考える人もいるが,しかし集全体の上に漂う色調の中には明るく人生を肯定して,情趣の中に融け込むような爛熟があり,堅苦しい陰鬱な「古今」に比較すると笑いと遊びを含んだ余裕ある生活意識が見られる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
346
『古今和歌集』に次ぐ第2勅撰集。村上天皇の勅宣により大中臣能宣ら5人の選者(梨壺の五人)により編纂される。954年~958年頃奏覧。20巻1425首。代表歌人としては紀貫之92首、伊勢72首が群を抜く。実際、どの巻にもこの2人の歌は顔を出している。在原業平9首、小野小町4首も数こそ少なくなるものの、未だ健在。読んだ限りでは、新鮮味は薄いか。なにしろ、古今の落穂拾い的な感が否めない(先入観か?)のであるから。中ではやはり伊勢の恋の歌(恋の部立て以外にも)が目を引くか。この人の生涯は恋と共にあったのだろう。2021/01/10
LUNE MER
11
村上天皇の勅撰ということで、源氏物語の舞台のモデルともされる華やかな時代の和歌集。源氏物語でも度々引用される和歌や、後の時代で本歌取りされた元ネタかな?という和歌も多く見受けられる。ただ、個人的にはやはり自分は新古今の頃のスタイルが好みだということを痛感したことも事実。心惹かれた歌にはマークしながら和歌集を読むようにしているのだが、マークの頻度が高くない。新勅撰の渋い感じも好きなのだけど、どうも後撰にはあまり惹かれない。古今は好きなのになぁ。自分の好みを分析する上でも発見の多い和歌集探訪。2020/06/02
山崎 邦規
1
平安時代の勅撰和歌集。王朝の和歌は私の好みに合うとは言うものの、この和歌集は恋を中心にしており、私が直視できない内容が多い。一方で、風景歌は伝統を背負った体裁のものが多くあり、私が求めてやまない理想の歌である。近現代に下って、範とすべき歌に出会えない中、平安まで遡るとはいえ、気持ちに合う歌を見出したのは、何よりの幸運である。短歌に興味が増していく昨今である。2024/11/21
山がち
1
個人的にはそれほど好きとはいえなかった。詞書が非常に多かったり、贈答歌が多かったり、恋歌が多かったりであんまり好みではない。四季歌にしても、好みと言えるものはあまりにも少ない。印象としては古今集よりもやや平易な気がしたけれども、貫之、伊勢が筆頭歌人ということを思うとおそらく私の読み方が悪いのであろう。部立にしても、四季歌が少なく恋歌が非常に多い。その上雑歌もかなり多いが、これといって好きでもない。歌の種類が少なくなっているのも、個人的にはかなり残念であった。古今集との隔たりを強く感じずにはいられなかった。2013/08/31