内容説明
銀も金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも―今なお愛される万葉集の歌。親子の情、恋の心、花鳥のあわれ、また機知諧謔。本冊は、大伴旅人・山上憶良らの唐ごころあふれる歌文を収める巻五から、春夏秋冬の順に歌を並べる巻八までの約九百首。全歌、訳・注付。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
19
万葉集でもっとも多く歌われた植物は萩であるが(ちなみに第2位は梅)、本書で改めて秋萩の好ましい歌に出会うことができた。歌集を繙き、自分の気に入った歌が見つかることは、私にとってこの上ない幸福である。「我がやどの秋の萩咲く夕影に今も見てしか妹が姿を」・・・”妹”はもちろん「いも」と訓ずる。わが家の庭の秋萩が咲く夕べの光のなかに、今こそ見たいものです、あなたの姿を。大伴田村大嬢が妹坂上大嬢に与えた歌という。異母姉妹の麗しい秋の相聞歌である。2018/07/07
Francis
7
意外と読みやすい。四季ごとの歌があるのも面白い。解説で持統天皇の有名な歌「夏過ぎて~」に「衣乾」とあてられていた写本があるのが驚きだった。2017/06/22
クックーナ
6
令和の出典がある第二巻。和歌山で生まれ、和歌山で暮らす私としては、第二巻に和歌浦、雑賀の句も多く含まれていることも合わせて嬉しく思う。2019/05/21
大臣ぐサン
4
「世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」山上憶良。数ある万葉歌人の中でも、憶良は特別の雰囲気を持っている。人が考えることなど時代が変わったとてさして変わるものではない。飛べないのだ、俺もお前も。ただ地べたに這いつくばり、バタバタともがくことしかできない。されば、精一杯もがき続けるがいい。いつか疲れて果てて野垂れ死ぬまで。2016/03/18
CCC
3
梅の歌が並んだ部分からは、中国からの影響を感じた。このころは桜よりも梅だったのだろうか。それが一時的なブームだったのかどうかは勉強不足でよく分からないけれど。2015/11/09