出版社内容情報
1977年度のノーベル医学賞を受賞したギヤマンとシャリーのすさまじい研究競争を描く興味つきないノンフィクションの傑作.本書は真理探究に心身を捧げる科学者という読者の常識を完膚なきまでにぶちこわすだろう.
内容説明
1977年度のノーベル医学生理学賞を受賞したギヤマンとシャリー―。2人のすぐれた科学者の20余年にわたる情熱と決意、異常なまでの競争意識に燃える対決は、真理の探求に心身を捧げる科学者という読者のイメージを完膚なきまでにぶちこわす。現代科学の研究の現場を鮮列に描く科学ノンフィクションの傑作。
目次
1 ストックホルムの1日
2 視床下部をめぐって
3 モントリオールへの道
4 学説の誕生
5 ハリスとズッカーマンとの論争
6 発見への第一歩
7 同盟の破綻
8 誤りの喜劇
9 針と棒
10 目隠しの競争
11 誤りのくり返し
12 屈辱的敗北
13 ブタの血の仕掛け爆弾
14 分かれみち
15 ロルフからの呼びかけ
16 栄光への道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこと
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読メでこんなに登録が少ないなんてもったいないほど、面白い本でした。研究者が真理を追求するということと以外の側面について、過剰なまでに紹介されている。両者が真実まであと一歩の場面では、本当に手に汗握るほど、どきどきしました。しかし、研究員の仕事はそのチームリーダーの功績になるという習慣は今でも健在。良くも悪くも、ノーベル賞の裏側には、人間ドラマがいっぱい詰まっているのだなぁ。。。2015/12/06
koz kata
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本文中でも学会がボクシングの試合会場の様になった、という例えが出てきたがスポーツの観戦記を読んでいるような気分になった。ノーベル賞を受賞するようなインテリでも個性から自由にはなれず2人がもっと長く真に協力できていれば更にすごい発見をしたのではなかろうかと思う。でも世の中そんなもんなのかもしれない。それでいいのだとも思う。2015/03/24
えむ
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1977年10月、女性であるハンデを乗り越えて受賞したロザリン・ヤーロウと共にノーベル賞を共にした二人の生理学者、シャリーとギルマンの野望と確執の過程を描いた本。そこには、知的な活動より何万頭のブタやヒツジの頭から組織を取り出して抽出するという泥をかぶるような仕事と共に、意地と意地のぶつかり合いに多くのページが割かれています。この本を読めば、シャリーが何度もレースに勝ったことがわかる。しかし、どうしてギルマンはシャリーよりも高い名声を勝ち取ったのか。研究者の社会の複雑さの一端を見て取れると思います。2012/10/28