出版社内容情報
魔女,竜,英雄,隠された宝物――意識下の闇の世界を旅して発見した夢の素材――を言語化するファンタジーとSF.『ゲド戦記』『闇の左手』の作者が,自らの創作の秘密を語りながら,2つのジャンルの本質に迫るエッセイ集.
内容説明
意識下の闇の世界を旅して発見した夢の素材を言語化する―。『ゲド戦記』『闇の左手』の作者が、自らの創作の秘密を語りながら、ファンタジーとサイエンス・フィクションの本質に鋭く迫るエッセイ集。
目次
1 モンダスに住む
2 みつめる眼
3 夢は自らを語る
4 エルフランドからポキープシへ
5 アメリカ人はなぜ竜がこわいか
6 子供と影と
7 SFにおける神話と元型
8 性は必要か?
9 エスケープ・ルート
10 アメリカSFと他者
11 石斧とジャコウウシ
12 魂のなかのスターリン
13 SFとミセス・ブラウン
14 書くということ
15 宇宙論のすすめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
brzbb
3
SF業界、ファンダムへの批判と提言。ファンタジー論。ファンタジー小説は、別世界のはずなのに外見が人間そっくりだったり、文化が中世ヨーロッパみたいだったりというところにどうしても違和感を感じてしまうんだけど(SFならいちおう人間原理という理屈をつけられる)、ル・グウィンがいうようにファンタジー小説は集合的無意識のありさまを「翻訳」した主観的なものだとすると、また別の読み方ができるかもしれないと思った。2015/05/31
ぼっせぃー
2
10章までは2015年の今現在読むには古い、というか、当時のアメリカへの警鐘と意味合いが強く退屈な部分も多い。12章「魂のなかのスターリン」、13章「SFとミセス・ブラウン」、14章「書くということ」あたりが読みどころではある。全体的に少々説教臭く、確かに、現代に照らし合わせても通用する問を立てている部分も多いのだが、それならば現代における言葉と更新された情報で考えたいという。やはり、ある種の啓発本に見えてしまって、珍しくどうも読みつけない本になってしまった。ル=グウィン、小説は好きなのに……。2015/07/14
かすみ
0
SFと分類をする、ことをとっぱらう。いいな。ちょっとこどもっぽいかも、と小説でも映画でもSFが好きって話しにくい。近年の作品を読み、少し昔の話を読み、SFのくくりのなかでも内容は様々あるし、ほんの味付けから、世界まるごと作ってしまうもの。いろいろ。SFの思い込みがひとつはずれた。 話題は広くても、言葉に力がある、心が動かされるのは一貫してある。2021/10/30