出版社内容情報
日本語の専門家は日々、何を考えているのだろう? 日本最大級の辞書を読破しても満足せず、今日も古書店の出品を嬉々として眺め、新聞を読んでもテレビを観ても日本語のことがひたすら気になる。言葉を考えるヒントが満載!
内容説明
アーザは強迫性障害に苦しむ十六歳。細菌に感染するかもしれないという考えが、一度暴走しだすと、もう止められない。親友デイジーの計画に巻き込まれ、アーザは失踪した大富豪の息子で、幼なじみのデイヴィスと再会し、デイヴィスに惹かれていくが…。
著者等紹介
グリーン,ジョン[グリーン,ジョン] [Green,John]
1977年、インディアナ州生まれ。2005年に第1作『アラスカを追いかけて』を発表し、マイケル・L・プリンツ賞を受賞するなど、高い評価を得た。第3作『ペーパータウン』で、エドガー賞ヤングアダルト部門賞を受賞
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年岡山生まれ。翻訳家。法政大学社会学部教授。古典からYA、現代文学からエンターテインメントまで、幅広いジャンルにわたって翻訳を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
78
強迫性障害に苦しむ少女の恋と友情が、大枠を成すミステリーの中で描かれる。バクテリアが入るかも、もう入ったかも、病気になるに違いない・・そんな恐怖に頭を支配される苦しみが、恐ろしいほど迫ってくる。自分を否定してしまう思春期に、互いの短所も含めて「大好きだよ」と言い合える親友の存在は救いだ。そして恋が心を成長させてくれる。「書いてみなさい。どうやってここまでやってきたのか」作者自身この作品を書くことで救われたのだろう。2020/07/05
あさうみ
47
YAですが、翻訳ミステリで紹介された本。主人公の少女アーザが抱える強迫性障害の思考の渦に巻き込まれる。大富豪の失踪事件から、少年少女の葛藤と成長を描く。お金ではない、デイヴィスの選択にハッとさせられる。親友デイジーもナイスキャラだ。まだ彼らの人生は始まったばかり、幸あれ!2019/05/21
seacalf
42
絶対ハズレのない作家ジョン・グリーンの最新作は、強迫性障害に日々悩まされている16歳の女の子が主人公のお話。マシンガントークを繰り出す親友デイジーが、昔の海外ドラマ「ブロッサム」の親友シックスを思い出させる。いつの時代もアメリカは社会問題を取り上げるのが上手。強迫性障害を扱ってるだけあって重たいシーンが多く、冴えた語り口はいつもよりも鳴りを潜めているが、大富豪失踪のミステリを交えながらトゥアタラや星の話など印象的な小ネタや文学作品からの引用満載で、相変わらず爽やかでクールで甘酸っぱい気持ちにさせてくれる。2019/05/23
星落秋風五丈原
33
以前【ジョン・グリーン作品では、『さよならを待つふたりのために』(『きっと、星のせいじゃない』として映画化)しかり、『アラスカを追いかけて』しかり、少年はちょっぴり大人びた少女の後を追いかける】と書いたが、今回もパターンは同じで、少女は少年から積極的にアプローチされる(まあ、羨ましい!)。物語にもよく引用されるウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』が本作のモチーフだ。本編のミランダは何度となく出てくるロマンティックなキスシーンでも「細菌が口の中に入っちゃう!」と気になって仕方がない。2019/06/03
アヴォカド
14
くーっ。青春ものは苦手だが、この人だけは別格だ。『さよならを待つふたりのために』も『アラスカを追いかけて』もよかったが、これもやっぱりよい。結構しんどいテーマも手を抜かずにストレートに扱う。登場人物こそ10代だけれど、過去のヒリヒリを懐かしむというスタンスじゃなくて、今現在の大人もヒリヒリする。2019/11/01