内容説明
裕福に暮らす少年チトは、おやゆびを押しつけると、みどりを芽生えさせ、花をさかせることのできる不思議な“みどりのゆび”をもつ少年です。ある日、お父さんが兵器を作る人だったことを知ったチトは一大決心をし、こっそりお父さんの兵器工場へもぐりこみます…。40年以上愛されてきた平和と希望の物語の愛蔵版。
著者等紹介
ドリュオン,モーリス[ドリュオン,モーリス][Druon,Maurice]
1918‐2009。フランスの作家。パリ生まれ。第2次世界大戦に出征。ナチス・ドイツに占領された祖国を離れてイギリスに移り、レジスタンスを呼びかけた。ゴンクール賞を受けた『大家族』で始まる三部作「人間の終末」が有名
デュエーム,ジャクリーヌ[デュエーム,ジャクリーヌ][Duh^eme,Jacqueline]
1927‐。ヴェルサイユ生まれ。18歳でパリに出て、ポスター制作などで著名なポール・コランのもとで学ぶ。アンリ・マチスの助手をつとめ、モデルにもなったといわれている。絵本に『わたげちゃん』『つきのオペラ』など
安東次男[アンドウツグオ]
1919‐2002。岡山県生まれ。詩人、批評家、翻訳家、東京大学経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
67
『北風のうしろの国』の主人公ダイヤモンド少年つながりで、同じように純真なチト少年の物語。こんな名作を見逃していたなんて!自分の指が持つ不思議な能力に気付いた少年は、社会について学びながらより良くするためにその能力を使う。刑務所や貧民街が一夜にして素晴らしい場所へと様変わり。最後にはお父さんの大事な商売道具にまでも指を使い戦争を回避、物語は明るい方向へ。現実でこうはいかないが、こんな不穏な時代だからこそ胸がすく思いを得られる読書をしたい。愛蔵版は挿絵がカラーなのでさらに魅力的。ぜひ本棚に納めておきたい一冊。2022/06/13
ぶんこ
64
とても素敵な本なのですが、読み終わった後にシ〜ンとした気持ちが続いています。早朝のあの感じでしょうか。刑務所も病院も兵器も花でいっぱいにするチト。何が人を幸せにするかを、優しく教えてくれているようでした。挿絵も素晴らしかったので、花のかぐわしさが匂いたつようでした。「チトは天使でした」で胸が詰まってしまいました。2018/10/11
ころりんぱ
51
星の王子様を思い起こさせるような、心の中に考え事のタネをそっと撒かれちゃうような本でした。大人よりも子どもの方が真実や大事にしなきゃいけないことがわかっているっていことはあるよなぁと、ずいぶんとチトの言動にはドキッとさせられてしまいました。図書館にあったのが愛蔵版という豪華な本で、時々ふわっとした色合いの美しいイラストが出てきて、しばしば見とれながら読んでいました。2017/02/01
クリママ
46
小学校高学年向きの児童書。全てに恵まれた男の子チトが、庭師から自分の緑の親指について教えられ、父親の会社のかみなりおじさんから世の中の不幸を教えられ、そして、その緑の指を使って、その不幸を解消していく。最後の言葉に深く納得する。世の中の不幸は人間には解決できないことなのだろうか。子供のころ読んでいたなら、緑の指の不思議さ、そしてチトのことをずっと覚えていたような気がする。2020/01/10
KEI
45
子供の頃に読んで、最後の一行「チトは天使でした」と、「自分もみどりの指が欲しい」と思った事は何十年経っても忘れないものです。今回は、子供の持つピュアな心と対称的な決まり切った考えにしがみついている大人の姿が印象的でした。でも、ピュアなチトの奇跡を前にした大人の変化も見逃せません。小2の孫娘のクリスマスプレゼント用に購入したけど早すぎたかも?でも、大人になるまで何度も読んで貰いたい本です。2019/12/06