出版社内容情報
ぼくの兄さんはスーパーヒーローだ.カッコはいいし,成績優秀,テニスのうでも抜群.ところが大学に入って1年ぶりに帰省した兄さんは別人のように変わっていた…….若者の不安な内面を鋭くとらえる.
内容説明
ぼくの兄さんはスーパーヒーローだ。カッコはいいし、成績優秀、テニスのうでも抜群だ。ところが大学に入って一年ぶりに帰省した兄さんは別人のように変わっていた。いったい、大学で何があったのか?…若者の不安な内面を鋭くとらえる。中学生以上。
著者等紹介
ヴォイチェホフスカ,マヤ[ヴォイチェホフスカ,マヤ][Wojciechowska,Maia]
アメリカの作家。1927年、ポーランドに生まれる。1939年第2次世界大戦がはじまると同時に祖国を脱出、1942年にアメリカに渡る。大学中退の後、テニスのインストラクター、アナウンサー、私立探偵、翻訳家、編集者などを経て、1952年『ティ・アンドレの市日』で新進の児童文学作家として注目される。『闘牛の影』で1965年度ニューベリー賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
43
LSDは60年代から70年代にティーンを迎える若者の大人文化の風習や規律すべての反体制文化を彩る文化的象徴、ジーンズ、ロックンロール、ヒッピーなどにとっての当時のアイテムの一つだった。愛や平和を掲げ堕落していく兄は何と戦っているのか、大人文化が作り上げた社会という文化にふざけるな、とただ単に影響され流行に流され翻弄されていくモノとしてLSDに手を染め、精神病院まで落ちていく兄。根底にあった親たちからの期待と周りの理想に応える自分との乖離と解放を叫ぶヒッピーたちの悲痛な叫び呼応する。時代が生む病はあると思う2015/06/14
ネギっ子gen
30
題名と訳者名に惹かれて――。ぼくの兄さんはスーパーヒーローだ。カッコはいいし、成績優秀、テニスの腕も抜群。ところが、大学に入って一年ぶりに帰省した兄さんは別人のように変わっていた……。 大学で何があったのか? 激動の時代を背景に、若者の不安な内面を鋭く捉えた児童文学。訳者・清水真砂子は「あとがき」で、<ひとりの若者の外界とのずれと自己の立て直し、あるいはむしろ再生を弟の目を通す形で描いた作品>と書き、さらに、<すべては若者が彼自身の本来の生を生きだすための、いわば誕生の苦しみであり、もがきであった>と。⇒2021/09/19
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
15
読友さんのレビューより。兄を崇拝する2歳年下の弟による1967年、夏休みの記録。家族のヒーローはドラッグ漬けになって帰省した。1960年代のカウンターカルチャーの臭いがプンプン。長男がヒーローとなる設定はよくあるけど、父親が暴君である場合は子ども達は共闘することになるのに、長男が猿山のトップになった場合は弟は父と兄の両方を仰ぎ見なくてはならなくなりダメージがでかい。兄が父の権力を継承することが多いのにこの物語は兄が密かに背負ってしまったものが、望まれたヒーロー像から脱却のための逸脱行動だった。兄が背負っ→2021/10/15
azimuth
1
児童書の棚にあって目が飛び出て、思わず読んでしまった。たしかに幼いうちに完全に悪いものとして刷り込んでおくっていう意味ではいいかもしれない。「ドラッグはいけない」って主張だけじゃなく、きちんとストーリー性があったので普通におもしろかった。2010/08/04