内容説明
幼い少女マイカと飛べないこうのとりのひな―ふたつの心の交流を詩情ゆたかに描いたドイツ児童文学の傑作。ドイツ児童文学賞受賞作。
著者等紹介
プルードラ，ベンノー［プルードラ，ベンノー］［Ｐｌｕｄｒａ，Ｂｅｎｎｏ］
ドイツの児童文学作家。１９２５年、旧東ドイツ、ドレスデン北方のミュッケンブルクに生まれる。ハンブルクの商船学校を卒業。ドイツ文学・歴史・美術史などを学び、教員、ジャーナリストを経て、１９５１年から子どもの本を書き始める。子どもの心を詩情ゆたかに伝える作品は、当時から東ドイツだけでなく西ドイツでも高い評価を受けた。１９９２年に、『マイカのこうのとり』でドイツ児童文学賞の幼年物語大賞を受賞。２００４年には、それまでのすべての業績に対し、ドイツ児童文学賞の特別賞（作家賞）が贈られている
上田真而子［ウエダマニコ］
１９３０年生まれ。京都ドイツ文化センター勤務の後、児童文学の翻訳を始める
いせひでこ［イセヒデコ］
伊勢英子。１９４９年生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。絵本『水仙月の四日』（偕成社）で産経出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』（理論社）で２００７年講談社出版文化賞絵本賞を受賞。絵本制作、エッセイ執筆と並行して、絵本原画展やアクリル画の個展を各地で開催している（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
127
1925年、旧東ドイツに生まれた児童文学作家プルードラ。マイカの気持ちに寄り添い続ける訳者、上田真而子氏。物語の世界に深く引き込む挿絵、いせひでこ氏。…見た目の違いなのか、心の問題なのか。家族から離されたコウノトリ。私の服を引っ張るの。ほら、後ろをついてくるでしょ。ずっとここにいたらいいよ。…全ては思うままにいかない。優しさだけでは語れない現実。父母、マイカ、犬のヴィトー、そして灰色の鳥。それぞれの心情を丁寧に、しかし安易な優しさや慰めでは終わらない物語を描く。…私を忘れないでね。私は決して忘れないから。2021/09/04
kanegon69＠凍結中
69
ドイツのある家庭で、アフリカから飛来した「こうのとり」が屋根に巣をつくり、その時に夫妻に娘のマイカを授かったことから始まる、人間と「こうのとり」の物語。少女マイカの視点で描かれており、非常に柔らかく優しい感情で包まれています。見放された灰色の「こうのとり」を巡る家族内の不和、そして興味津々の動物学者。マイカから引き離そうとする人達にマイカの張り裂けそうな気持ちが痛いほど伝わってきます。そして驚きのエンディング！いせひでこさんの挿絵が、こうのとりとマイカをふんわりやわらかに描きだし、物語に花を添えています。2019/11/29
とよぽん
49
読友さんの感想を読んで。人間と動物のつながりを感じるとともに、人間同士のかけひきを超えてマイカのこうのとりは見事にコウノトリとして飛び立っていった。大人の世界、子どもの世界、残り数ページなのにどうなるんだろうと思っていたら感動のラストだったし、いせひでこさんの絵も物語を引き立てるのにぴったりの素晴らしい絵だった。東ドイツで活躍していたこの作者の、他の作品もぜひ読んでみたい。2023/09/01
mntmt
23
ドイツの児童文学作品。いせひでこさんの絵が好きなので、読んでみた。こうのとりって、渡り鳥なんですね。ツバメのように、自分の家に巣を作って、卵を産んで、子育てをしていたら、驚くし、毎日観察してしまうかも。この話は、マイカと飛ばないこうのとりの子との交流を描いたものです。2015/10/03
Cinejazz
12
〝この春､ｺｳﾉﾄﾘがやって来ているのを一番に見つけたのは､ﾏｲｶでした「ｺｳﾉﾄﾘよ！ｺｳﾉﾄﾘがまた来てるわ！」...「みんな､あの子はいらないのね」とお母さんが言いました｡「じゃあ､私たちの処にいるといいわ｡ ね､いいでしょ？」ﾏｲｶはそう言って､お母さんの手を握りました〟･･･幼い少女ﾏｲｶと飛べないｺｳﾉﾄﾘの雛･･･二つの心の交流が深く静かに語られた､優しさと切なさが心にひびくﾄﾞｲﾂ児童文学｡ 挿絵は<いせひでこ>さん｡2023/09/15
