内容説明
財産争いをめぐる悲喜劇「牛と刀」、夜の芝居小屋で起きる怪談「真夜中の舞台」、金もうけに取りつかれた男の運命「わるだくみ」など、笑いと悲哀がまざりあった世の姿を、鋭く描き出す7編。江戸時代の作家、井原西鶴の作品を読みやすく翻案。中学以上。
著者等紹介
廣末保[ヒロスエタモツ]
1919‐1993。高知県生まれ。東京大学国文科卒。法政大学教授をつとめ、松尾芭蕉、井原西鶴、近松門左衛門、鶴屋南北など近世文学を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
86
原文で読んだらこのようなおかしみが堪能できたのかなあという気がします。やはり現代文で読みやすく、いくつかの民話のような話がありました。また表題作などはかなりシュールな感じがしました。落語の「頭山」やエイメの「壁抜け男」を思いださせてくれるような感じでした。人間の悲しみやおかしみをうまくこのような物語に仕上げているという事はやはり西鶴という人は傑出していたのでしょう。もっと現代文で読みたいですね。2023/12/25
藤月はな(灯れ松明の火)
61
「牛と刀」は「名より、実を取る」事が美徳である風潮に風穴を開けるような物語である。父の遺言を信じて家宝である刀を選んだ藤六。刀の謂れを訊き、実にならぬ誉と知っても刀を捨てなかった。その後、刀は彼にとっての牛や家に匹敵する人生の道標になったのか、曖昧なのが味わい深い。後、夢の中でも金が惜しいのは悪い事ではないです。表題作は仇討ちの話だが、判八が仇討ちに積極的な理由が追悼ではないという点が現代にも通じると思う。そもそも、勝負事に横から口入する方が野暮だったのだ。運命には抗えない人間の悲哀が滲み出た乙な逸品。2023/07/30
☆よいこ
54
江戸古典。元禄の三大作家(詩人の松尾芭蕉、劇作家の近松門左衛門、小説家の井原西鶴)のひとりである西鶴の古典を現代語訳し子供向けにした物語が7つ。▽町田康の解説がいい。面白さには2種類ある。人がやるのを見る面白さと、自分で見つける面白さ。1972年平凡社の再版。2020/04/08
スプーン
32
井原西鶴作品の現代語リメイク版。 どの話も 「人間は哀れで滑稽な存在である、ならば欲をかかず、真面目に生きよ」との教えに思えてくる。 読みやすく、面白みのある短編集。2020/10/11
棕櫚木庵
32
【祝! 岩波少年文庫創刊70周年 協賛】西鶴の「話そのものを,少し作りかえ」た「翻案」7編.後になるほど面白い感じだった.特に面白かった3篇は:▼「わるだくみ」.この映画(?)をTVで見たことがあるが,今回は,“金の魔力”とでも言うべきものを強く感じた.才覚に任せて金儲けするのが楽しかった男が,やがて金儲けそのものに執着するようになる話.▼「お猿の自害」.猿が哀れ.これはまた,無明に惑う人の姿でもあるのだろう.▼「帰って来た男のはなし」.最後の長老たちの裁定.まぁ,そういうものなんだろうなぁと嘆息した.2020/05/02
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