出版社内容情報
騎士道物語に夢中になりすぎた郷士とその従者の荒唐無稽な話と思われがちなこの長編古典『ドン・キホーテ』を,ふたりの人間性に焦点をあてて真の面白さを浮き彫りにした画期的な編集.
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
97
世界で最も売れた本。ドン・キホーテとサンチョ・パンサの冒険。空想上の美しいドゥルシネーア姫に会えなかったのは残念でしたが、最後まで2人の関係は純粋で美しいまま終えて良かったです。1605年出版の前篇と10年後の後篇をまとめて、原作の約6分の1に短縮された抄訳ですが、作者セルバンテスの人生と、その当時のスペインの栄光からの転落、そして騎士道物語があいまった「書物の書」に触れることができました。ギリシャ・ローマの神話をもう少し読んでから、原作の翻訳に挑んでみようと思います。2021/09/01
たつや
54
土地を売ってまで、本を買い騎士道にのめり込むきちがいじみた男、ドンキホーテの物語。お供のサンチョとの関係性ややりとり、序盤で登場する有名な風車のシーンなど、どこか落語やコントの様でもあり、おかしく読めましたが、ラストはキリスト教へのクローズアップ的なものもあり、少し切ない様な現実に引き戻されたような、不思議な読後感です。2017/04/28
みゃーこ
49
騎士物語の読みすぎで自分が勇敢な騎士になったと思い込んだドンキホーテは従者サンチョ・パンサと数々の失敗を重ねても狂人とバカにされても試練であるとの証明意であると疑うことなくどういう道理なのか、読み手に妙な元気を与え不幸な考え方を払しょくさせ勇気と信念と言う二つの強い燃える生命への信仰心を煽る作品だ。2015/06/14
なる
35
スペイン文学でおそらく最も読まれている作品で、史上最高の文学百選としても堂々の1位として選出されている。風車に突入したり云々という逸話は知っていても実際のあらすじもよく知らなかったり。愛馬ロシナンテに乗った騎士道にかぶれたラ・マンチャの男と、その従者サンチョ・パンサが巡礼(という名の徘徊)の中で巡り合うイベントの数々。(求められてもいないのに)出来事に介入してはその騎士道を発揮するドン・キホーテの奇行はサンチョのツッコミと相俟って絶妙な面白さを醸し出すが、同時にこれが本当に滑稽なのか振り返り震える。2023/08/06
まさ
28
ドン・キホーテとサンチョの旅物語。かなり以前に読んだ(流し読み?)記憶では滑稽な話という印象だったけど、これは奥深いなぁ。ドン・キホーテが見えているものは妄想と断言できるのか。作品は騎士道への風刺と捉えられるのかもしれないが、寧ろ現代への批評ではないか。彼の言動を笑い、一方で彼の見る世界からも考え、サンチョの一言一言に見つめ直し、ページ数のボリュームもあるけど、それ以上に読了時に感じることは多い。2022/05/04