出版社内容情報
4人きょうだいは魔法の力でナルニアへ呼びもどされます.数百年がすぎ暴君のもとで荒廃しきったナルニアで,4人は殺されかけた王子を助け,命がけの戦いをくりひろげます.
岩波少年文庫 ナルニア国ものがたり
1. ライオンと魔女
2. カスピアン王子のつのぶえ
3. 朝びらき丸、東の海へ
4. 銀のいす
5. 馬と少年
6. 魔術師のおい
7. さいごの戦い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
323
当初C・S・ルイスは「ライオンと魔女」だけで完結のつもりであったらしい。それが、読者や出版社の求めに応えて、この続編「カスピアン王子」を書き、やがて構想はさらに広がって、ナルニア国の歴史を語る全7巻の壮大な物語に発展していった。この第2巻は、物語の枠組みはシェイクスピアの2つの劇から成っている。まず、叔父による王の簒奪は『ハムレット』から。そして、森が動くことによる簒奪者の敗北は『マクベス』のバーナムの森からの構想だ。これらは、そこからアイディアを借りたというよりは、それらを踏まえた表現とみるべきだろう。2015/10/21
れみ
83
ナルニア国物語2作目。テルマール人が治める時代にカスピアン王子がナルニアをよみがえらせるためピーターたち伝説の王と王女とアスランを呼びともに戦うお話。映画見たはずだけど最初の駅のところと最後の戸口のところ以外ほとんど覚えてないことにびっくり^^;1作目と2作目の間には数百〜千年くらいの時間が経っている設定。日本でいうと平安時代くらい?地続きの文化でも曖昧だったりよく分からないこともあるんだからナルニアの世界でも伝説の王たちの存在を信じず裏切ったり別の道を選ぶ人がいても全然おかしくない気がするなあ。2015/10/16
たつや
50
最初に挿し絵が本当にいい味出してますね。このシリーズはどうやら、各本が一冊ずつ、独立したお話として楽しむことも出来るんですね。この本では前作から現実世界に戻ると、まったく時間がたっていないと言う。ドラえもんで経験済みのふしぎな世界が展開される。テレビやパソコン、携帯、ラジオ、ゲームがない時代の子供だったら、自分も、むさぼるように読んだんだろうなと想像できる面白さですね。もう、残り全部読もうかな2016/12/12
テルテル
39
現実は厳しい。甘えては生きていけない。自分のことで頭がいっぱいで他人を思いやる心さえ失いつつある現代社会。いじめを考える絵本『おおきなあな』か浮かぶ。カスピアン王子によって吹かれた角笛は彼ら4人を英雄の世界へと導く。ナルニアの世界は、大きく変化しテルマール人が統率する国となっていた。苦しみのどん底にうち沈むナルニアの人々の心の『あな』を埋めたのは4人の英雄とカスピアン王子の勇気ある行動にあった。ナルニアはただの物語ではなく、私たちに『あなたたちを必要としている場所』が必ずあるのだと伝えているように感じる。2015/04/26
Willie the Wildcat
38
心が呼び寄せる。見た目ではなく心。心が乱れることが秩序の乱れとなる。心が荒み、自然も荒む・・・。妖精の眠りもその過程。アスランを視覚的に捉えることができるかどうかは、心の”叫び”のバロメーター。直面する困難も、1人1人の気づきが道を拓く!過去を振り返らず前を見る姿勢。エドマンドの成長と、ネズミ族の尊厳が印象的。蛇足だが、ピーターとスーザンのナルニアとの”別れ”は新しい出会いを意味してるのかな・・・。2014/08/13