出版社内容情報
「科学者の随筆家」として親しまれ,夏目漱石にも称賛された文才と科学者の視線を兼ね備えた独自の文章で,多くの読者に支持されている寺田寅彦.旧全集を全面的に見直し,随筆をテーマ別に再編集して各巻に解説を付し,さらにローマ字を和文表記にし,新字体新かな表記を採用するなど,より親しみやすい新全集を刊行します.
目次
電車と風呂
丸善と三越
鸚鵡のイズム
案内者
マルコポロから
一つの思考実験
神田を散歩して
石油ランプ
解かれた象
流言蜚語〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ted
2
'97年6月刊。○社会や災害についての随筆集。寅彦の警句として間違って伝えられている「天災は忘れた頃にやってくる」の元とされる「天災と国防」は第Ⅱ部に所収。現代でもそのまま通用する指摘が多いのは、我々があまり進歩していないということなので悲観すべきことである。文章(特に文末)が回りくどい特徴がある。また、頭の硬い役人には重要性を理解できないので科学者による独立した機関の設立を提言している箇所が複数あるが、こういう組織を作っても時が経つに連れて必ず初心を忘れ、硬直化や腐敗が起きることが寅彦には見えていない。2019/03/24
いちはじめ
0
地震などの災害について書いた文章は今も古びてないと感ずる。2010/08/19