出版社内容情報
ギリシア悲劇は詩形式の文芸である.清朗の春,新作が上演された.余りにも人間的な,余りにも現代的なギリシア古典文芸の精華に新たな息吹を与えることを願い,全篇を新訳,脚注・解説を付し,夢を託す陶器の破片のように凛と美しい「断片」をも集成して刊行する.ここにいるのは,他でもない,私たちなのである.
目次
バッカイ―バッコスに憑かれた女たち
アウリスのイーピゲネイア
レーソス
キュクロープス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
18
たしか白土三平の劇画で、ペンテウスの悲劇がリアルに描かれている 2017/05/03
更新停止中
1
「バッカイ」をちゃんと読んでなかったので。何となく精神性とか世界観みたいなものはアイスキュロスよりエウリピデスの方が好きだ、と思いつつ、そういう意味では「胸くそ悪い」と言っていいアイスキュロスの方が「物語」としては「上手い」と感じるのは何だろう。「アウリスのイーピゲネイア」のクリュタイメストラのキャラクター付けとか「オレステイア」よりこっちの方がずっとまともだし(これ読むとオレステイアのオレステスに全くシンパシー抱けなくなる位に)アガメムノンの肉付けも上手いんだけど。単に翻訳の好みかなって気もするが2012/11/07
豆大福
0
「バッカイ」「アウリスのイーピゲネイア」「レーソス」「キュクロープス」の4編を収める。「バッカイ」と「イーピゲネイア」は80歳を過ぎた最晩年の作品だがどちらも圧倒的だ。特に「バッカイ」は型破りで凄い迫力。また、現存する唯一のサチュロス劇である「キュクロープス」は何だかフォルスタッフの出てくるような喜劇である。2025/04/28
てり
0
なんとも恐ろしい「バッカイ」が印象的。神であるディオニューソスが人間を装って劇中に出てくるというのも面白い。エウリーピデース作品は作者の工夫がしのばれる。2022/12/20
Βουλγαροκτόνος
0
『キュクロプス』は現存する唯一のサテュロス劇。エウリピデスも、(あれだけアリストパネスにパロディーを作られた)悲劇作家とはいえ喜劇的な性格も持っていたことが分かって面白い。2022/08/29