内容説明
1910年、齢70にして正造は、谷中村復活の最後の闘いとなった河川調査を開始した。その姿はみすぼらしく、また疲れ切ってもいた。しかし、それから3年、行脚は、旅先で没するまで休むことなく続けられた。この最晩年の正造の内面に沈潜した思考の跡を辿る時、そこに人間の歴史の基層を貫流する真実への信頼を読みとることが出来よう。治水論、自然・宗教観の側面を扱う本巻は、第7巻と併せて、巨人田中正造の思想の核心に迫るものである。
目次
第1章 ア、うれしや、我ハ虚位と云ふ事をさとれり
第2章 山河ヲ荒スモノハ之レ天地ノ大罪
第3章 谷中ハ予の天国なり
第4章 人ハ天地に生れ天地とともにす