出版社内容情報
最古の酒天童子絵巻「大江山絵詞」の成り立ちを解き明かすとともに,「武士とは何か」という謎に迫る.
内容説明
頼光四天王が鬼退治に活躍する御伽草子や謡曲として広く知られる酒天童子物語。その現存最古の絵巻物である「大江山絵詞」は、いつ、どこで、だれによって作られたのだろうか。京近辺の作という通説に疑問を呈し、中世の坂東武士が絵巻をつくり、伝来してきたことを解き明かしながら、「武士とは何か」という根源的な謎に迫る。
目次
プロローグ 宝塚少女歌劇「大江山」と小林一三
第1章 最古の絵巻・逸翁本「大江山絵詞」
第2章 逸翁本の「発見」と伝来の謎
第3章 「大江山絵詞」の描く物語
第4章 酒天童子物語の成立
第5章 頼光四天王と坂東武士
第6章 坂東武士の憧憬―なぜ千葉氏は絵巻をつくったのか
エピローグ 宝塚歌劇団公演「大江山花伝―燃えつきてこそ」から
著者等紹介
鈴木哲雄[スズキテツオ]
1956年千葉県生まれ。1981年東京学芸大学大学院修士課程修了。2003年博士(史学)号取得(中央大学)。日本中世史・地域史。北海道教育大学教授などを経て、現在、都留文科大学教養学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
らむだ
5
酒天童子絵巻の中のひとつ「大江山絵詞」と坂東武士の繋がりを、史実と物語を行き来しながら解き明かしていく一冊。2022/04/27
金目
4
大江山の鬼退治、酒呑童子の取材で一読。有名なお話でも、成立過程を探ると、政治の気配がし出す。南北朝時代に成立した「大江山絵詞」は、千葉一族が自らの存在を顕示するために創作した(元になった話は別にあったとして)という説。頼光四天王は巷間で言われている4人になるまでに紆余曲折があり、御伽草子で語られる4人には坂東武士の影響がうかがえる、という指摘には膝を打つ思い。何となく筆頭格だと思ってた渡辺綱は、歴史的には後付けの感が強いのは意外だった2023/12/07
アル
3
史実の源頼光と伝説の頼光、酒天童子物語と源氏や千葉介一族の歴史を行き来しつつ、絵巻の伝来とその作られた意味を探る本。 絵巻の発注者を推定する論考の中でも、同系本との僅かな差異をもとに発注者の身分を推理する部分は非常に興味深かった。 坂東武者の名門というアイデンティティーを持ちつつ、一族の活動が全国化したことで「都の武士」との歴史的つながりを求めるようになる千葉氏や三浦氏の姿も印象的。 たとえ史実と違う荒唐無稽な物語でも、なぜその話が作られ、どう改変されたのか、という観点で歴史研究の対象とできるのだ。2019/11/15
不純文學交遊録
3
宝塚歌劇団の創始者で知られる小林一三(逸翁)が蒐集した酒天童子絵巻(大江山絵詞)。下総国・香取神宮に伝わったもので、その来歴をたどりながら武士のルーツを探る。鬼退治は完全なフィクションだが、実在の人物をモデルにしている。足柄山の金太郎こと坂田公時は、夭折した「相撲使」下毛野公時。源頼光の一条邸を例に、平安時代の貴族の邸宅が「娘婿」によって相続されていたのも面白い。また大江山は丹波と丹後の境ではなく、山城と丹波の境の「大枝山」だとか。岩波だからお堅い本かと思いきや、なかなか楽しめた。2019/09/19
夜の蝉
2
本書は岩波書店の歴史物ということで、いささか難解な内容を予想しました。しかし、誰が「大江山絵詞」(酒天童子絵巻)を作成したか(作成させたか)という謎解きをミステリー本のように仕上げ、それでいながら史料に基づいた記述がなされています。この特徴は、プロローグが宝塚歌劇団の演目「大江山」で始まる点に顕著に表れています。宝塚歌劇団の創設者は実業家の小林一三(いちぞう)で、問題となる「大江山絵詞」は一三の旧邸の後身、逸翁美術館に所蔵されており、絵詞が数奇な経緯を経てこの美術館にたどり着いたことが分かります。2019/07/25
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