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戦争と性暴力の比較史へ向けて

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  • サイズ B6判/ページ数 384p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000612432
  • NDC分類 209.04
  • Cコード C0020

出版社内容情報

女性のエイジェンシー(行為主体性)を否定せずに戦争と性暴力を問題化することはいかに可能か。

内容説明

本書は、戦時性暴力における当事者間の関係の連続性(「敵味方・同盟国・占領地・植民地」「強姦・売買春・取引・恋愛・(結婚)・出産」)に注目し、歴史的な文脈のなかでどのような加害・被害の語りが社会的に許容されるか、そして文脈の変化によって語りがいかに変容するかを、比較史の視座から分析する。「戦争に性暴力はつきもの」という普遍主義に陥ることなく、また女性のエイジェンシー(行為主体性)を否定することなく、戦争と性暴力を問題化することはいかに可能か。

目次

戦争と性暴力の比較史の視座
第1部 「慰安婦」の語られ方(韓国の「慰安婦」証言聞き取り作業の歴史―記憶と再現をめぐる取り組み;「強制連行」言説と日本人「慰安婦」の不可視化;日本軍「慰安婦」制度と性暴力―強制性と合法性をめぐる葛藤;兵士と男性性―「慰安所」へ行った兵士/行かなかった兵士)
第2部 語り得ない記憶(セックスというコンタクト・ゾーン―日本占領の経験から;語り出した性暴力被害者―満洲引揚者の犠牲者言説を読み解く;引揚女性の「不法妊娠」と戦後日本の「中絶の自由」;ナチ・ドイツの性暴力はいかに不可視化されたか―強制収容所内売春施設を中心として)
第3部 歴史学への挑戦(性暴力と日本近代歴史学―「出会い」と「出会いそこね」;戦時性暴力被害を聞き取るということ―『黄土の村の性暴力』を手がかりに;戦争と性暴力―語りの正統性をめぐって)

著者等紹介

上野千鶴子[ウエノチズコ]
1948年生。東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)理事長。専門:社会学、ジェンダー研究

蘭信三[アララギシンゾウ]
1954年生。上智大学総合グローバル学部教授。専門:歴史社会学、戦争社会学

平井和子[ヒライカズコ]
1955年生。一橋大学社会学研究科非常勤講師。専門:近現代女性史、ジェンダー史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

41
戦争と性暴力の関係を研究者らが集め分析した学問書です。このジャンルは国際的な専門家たちが自分の国が加害者となった問題を研究する形でまとめたものを読んでみたい。そうした時に立ち上がってくるだろう方程式をまとめ、シェアし、これから世界を担うであろう少年少女たちと共有したい。加害者に、被害者にならないように。戦争はすべてを破壊する。そこには真の勝者は一人もいない。サバイバーの声を冷静に分析し、これからに活かすべきだと思う。2022/02/16

小鈴

21
性暴力は文書として残りにくい。沈黙を強いるため記録されない。記録されにくい性暴力をどのような枠組みで分析できるのか。上野千鶴子の序章ではフレームワークについて解説する。成田龍一の9章では歴史学は資料主義であるため性暴力の問題を取り上げられにくいことを指摘する。なぜなら暴力を受けた当事者が語らず資料として残りにくいからだ。そんななかで歴史学出身の石田米子『黄土の村の性暴力』は当事者の聞き取りから日本軍性暴力被害について明らかにしていった。社会学者の蘭信三は10章でオーラルヒストリーの手法について検討する。2019/09/04

小鈴

19
平井和子「兵士と男性性-「慰安所」へ行った兵士/行かなかった兵士」111-140。論文の目的「『加害者』とされる日本兵士の『動機や、彼らの意味世界、行動可能性』に関する研究は進んでこなかった。『慰安所』システムを成立させる兵士とセクシュアリティの問題を問わない『慰安所』問題研究は、加害国の責任を問うことはできても、『戦争に性暴力はつきもの』というレイプ神話を崩すことはできない。」「軍隊と戦争がつくり出す『男性性』に注目し、『兵士と性』という普遍的課題に、日本軍兵士の体験記から迫りたい」。2019/08/31

小鈴

16
まだⅠ部しか読んでいないが、気づきが多かったのでメモ。慰安婦問題とは既知であり研究蓄積があると思っていたが、そうではなかった!。当事者の手記やヒアリングの記録は多数あったものの、本格的に研究が進んだのは91年に「慰安婦」金学順が名乗り出たことで、一挙に研究が進んだという事実にまず驚いた。そのことは事実の収集にとどまらず研究の視座も切り開かれたことを意味する。金学順のカミングアウトから四半世紀経ち、アジア発の戦争と性暴力の研究の蓄積が進んでいる。事例と視座を多くの人と共有したい、と強く思いました。2019/08/30

出原樹音

2
きわめて興味深く読んだ。2018/07/31

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