出版社内容情報
誰しもが遭遇する「不安」、それは人間存在に何を投げかけているのか――ラカンは、主体と欠如、欲望とその原因をめぐるトポロジカルな迷宮の果てに、普遍的でありながら、しかし充分に考察されてこなかったこの問いと正対する。ラカン思想全域の理解に不可欠な、熱気あふれるセミネール第十巻。
内容説明
「不安」、それは「対象なし」ではない―古今東西のエロスとタナトスを自在に巡りながら、自我の奥底に閉じ込められた「不安」を自他の弁証法の「残余」として取り出すダイナミックな考察は、ラカン思想を、精神分析はもとより、哲学、社会学を含む広大な領域での不可欠な基盤に至らしめた。ラカン思想全域を、真に今日的課題の中で活かすための枠組みとして理解するに不可欠な、熱気あふれるセミネール第一〇巻。
目次
不安 享楽と欲望の間(不安、現実的なものの信号;愛に関するアフォリズム;女、より真実の、そしてより現実的なもの;雄の要件)
対象aの五つの形(仏陀の瞼;口と眼;ヤーヴェの声;消えゆくファルス―去勢不安からオルガスムスへ;耳から入るもの;ピアジェの水栓;肛門的なものから理想へ;点に還元できない円について;αからいくつかの“父の名”へ)
著者等紹介
ラカン,ジャック[ラカン,ジャック] [Lacan,Jacques]
1901‐1981。フランスの精神分析家。パリに生まれ、パリ大学で精神医学を修め、主にパラノイアを研究。第二次大戦後、フロイト理論をラディカルに展開し、有名な「鏡像段階論」をはじめとする自我や無意識の構造主義的探究によって、精神の科学に新たなる地平を拓いた。1964年にはパリ・フロイト派を創設し、その後のフランス精神分析の隆盛に決定的な役割を果たす。その思想活動は哲学・社会学・文学・言語論・記号論などにも広範な影響を及ぼした
小出浩之[コイデヒロユキ]
1943年生まれ。精神科医。現在、岐阜大学名誉教授
鈴木國文[スズキクニフミ]
1952年生まれ。精神科医。現在、医療法人生生会松蔭病院勤務。名古屋大学名誉教授
菅原誠一[スガワラセイイチ]
1970年生まれ。精神科医。現在、東尾張病院勤務
古橋忠晃[フルハシタダアキ]
1973年生まれ。精神科医。現在、名古屋大学学生相談総合センター准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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