内容説明
歴史研究を通じて現代世界と向き合うことを生きる姿勢として自らに課し、民衆思想の研究を中心に歴史学の方法と可能性を切り拓いた安丸良夫。雑誌『図書』の連載「戦後歴史学という経験」をはじめ、大きく転回しつつある時代を見すえながら書き遺された、歴史学の来し方と新たな方向性をめぐる最晩年の考察をここに集成する。
目次
1 戦後歴史学という経験(石母田正と歴史学的想像力;兵農分離と「平和領域」;比較発達史論の陥穽―民族運動の捉え方;私たちは、いま、どこにいるのか)
2 戦後日本の歴史家たち(網野善彦―『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』解説;朝尾直弘―構想力の歴史学;佐々木潤之介―「変革の学問」を求めて;尾藤正英―主体から構造へ?尾藤思想史学の展開;飛鳥井雅道―「近代精神」の系譜;色川大吉―民衆意識と天皇制)
3 読書経験(書物の時空;韓国の読者に向けて)
著者等紹介
安丸良夫[ヤスマルヨシオ]
1934年富山県に生まれる。1953年京都大学文学部史学科入学。1962年京都大学大学院文学研究科(国史学専攻)博士課程単位取得退学。名城大学助教授を経て、一橋大学助教授、同教授、早稲田大学大学院客員教授などを歴任。一橋大学名誉教授。日本思想史専攻。2016年4月4日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
3
「戦後日本の歴史学は、緊張にみちた論争的な知として出発した。そこでは、戦争体験への反省と未来への希望が結びついていて、今にして思えば不思議なほどに、知的な若者に人気のある学問だった。新しい史料と事実が発見されたが、しかしそうした発見性には、私たちの平板な通念へのきびしい批判・批評が含意されていた」(5頁)。歴史を現在と過去の対話にたとえるなら、戦後歴史学は「現在」の比重が極めて大きな場であった。そのことのプラスもマイナスも噛み締めておきたい。2022/11/11
uehara
0
著作集刊行後の小文を中心に編まれたもの。個人的には尾藤正英、佐々木潤之介、飛鳥井雅道についてのものが収穫。2024/07/28
ぽ@8001
0
作成中。2019/10/11