内容説明
憲法学という学問が取りうる態様は実は多様である。ワイマール共和国から戦後の連邦共和国における、現在に至るまでのドイツ憲法学の歴史的発展、とりわけそこでの憲法理論の役割の変遷、更にはデモクラシーや多層的法秩序(連邦・EU・地方自治)の諸問題等を検討することを通して、これとの比較から浮かび上がる日本の戦後憲法と憲法学の現状と課題を批判的に考察する。
目次
複数の憲法、複数の憲法学
1 憲法学の変容(危機の共和国と新しい憲法学―カール・シュミットの憲法概念に関する一考察;国家論の時代の終焉?―戦後ドイツ憲法学史に関する若干の覚え書き;「政治」の行方―戦後憲法学に対する一視角;国家学の最後の光芒?―ベッケンフェルデ憲法学に関する試論;国家理論からデモクラシー理論へ?―憲法学の変遷とその意義をめぐって)
2 デモクラシーの諸相(議会制論の現在;政治過程における自由と公共;政党法制―または政治的法の諸原理について;憲法原理としての民主政―ドイツにおける展開を手がかりに)
3 多層的秩序の憲法理論(連邦と憲法理論―ワイマール憲法理論における連邦国家論の学説史的意義をめぐって;EUと憲法理論―ドイツ公法学における国家論的伝統をめぐって;連邦・自治・デモクラシー―憲法学の観点から)
4 日本憲法学の行方(戦後憲法学と憲法理論;憲法秩序における団体;論拠としての「近代」―私人間効力論を例に;「国家教会法」と「宗教憲法」の間―政教分離に関する若干の整理)
戦後憲法を超えて
著者等紹介
林知更[ハヤシトモノブ]
1974年生。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科助手、北海道大学大学院法学研究科助教授などを経て、東京大学社会科学研究所教授。専攻は憲法学、国法学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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