内容説明
精神史としての思想史―それは哲学、文学から美術、音楽、科学にいたるまで、人間の営みを総体として捉え、その時代の心的連関、時代精神に肉薄しようと試みる。それはまた、真に“他者”を理解することの意味を探究し、政治的思考の新たな可能性とその在りかを指し示そうとする。古典古代からポストモダニズムまで、人間と、その存在そのものが必然的に孕まざるを得ない政治性を問い、自己と他者の共同性の確認という「地平の融合」をめざして白熱する講義は、聴講する多くの学生を魅了した。神戸大学、京都大学両法学部で行われた講義の記録。
目次
政治思想史の課題と方法―精神史としての政治思想史(「政治」=自己と他者との関係の秩序化;「精神史」=時代の雰囲気)
古代ギリシア精神史(自己の成立/他者の成立―「政治」の誕生;ギリシア悲劇の政治思想―「第二の政治」の誕生;合理主義の諸相―政治哲学の誕生;内面への逃避―ヘレニズム期精神史)
キリスト教中世精神史(信仰と理性;中世の秋;中世末期の精神史的特質)
近代の胎動―ルネサンスからバロックへ(イタリア・ルネサンス―「自然と人間の発見」;北方ルネサンス;バロック精神史)
イギリス自由主義の成立と展開(ホッブス;ロック;スコットランド啓蒙;功利主義)
転回―ルソー(実存的問題意識;社会・政治思想;「夢想」の世界)
19世紀ドイツ精神史(古典主義とロマン主義;観念論哲学;マルクス)
20世紀精神史への転回―ニーチェ(ロマン主義からの出発と決別;既存の価値の批判)
「実在」の探求(「モデルネ」の芸術;文化ペシミズム)
存在論的転回―ハイデガー(両義性の哲学;政治的関与―ハイデガーにおける「政治的なもの」)
戦後精神史(言語論的転回―ソシュールとウィトゲンシュタイン;20世紀マルクス主義―ルカーチとアドルノ;フランス実存主義―サルトルとメルロ=ポンティ;構造主義とポストモダニズム―レヴィー=ストロースとデリダ)
「存在」の耐えられない軽さ?
著者等紹介
小野紀明[オノノリアキ]
1949年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。京都大学法学博士(1987年)。京都大学法学部教授。2015年3月退職。西洋政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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