西洋政治思想史講義―精神史的考察

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  • サイズ A5判/ページ数 520p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784000610179
  • NDC分類 311.23
  • Cコード C0010

内容説明

精神史としての思想史―それは哲学、文学から美術、音楽、科学にいたるまで、人間の営みを総体として捉え、その時代の心的連関、時代精神に肉薄しようと試みる。それはまた、真に“他者”を理解することの意味を探究し、政治的思考の新たな可能性とその在りかを指し示そうとする。古典古代からポストモダニズムまで、人間と、その存在そのものが必然的に孕まざるを得ない政治性を問い、自己と他者の共同性の確認という「地平の融合」をめざして白熱する講義は、聴講する多くの学生を魅了した。神戸大学、京都大学両法学部で行われた講義の記録。

目次

政治思想史の課題と方法―精神史としての政治思想史(「政治」=自己と他者との関係の秩序化;「精神史」=時代の雰囲気)
古代ギリシア精神史(自己の成立/他者の成立―「政治」の誕生;ギリシア悲劇の政治思想―「第二の政治」の誕生;合理主義の諸相―政治哲学の誕生;内面への逃避―ヘレニズム期精神史)
キリスト教中世精神史(信仰と理性;中世の秋;中世末期の精神史的特質)
近代の胎動―ルネサンスからバロックへ(イタリア・ルネサンス―「自然と人間の発見」;北方ルネサンス;バロック精神史)
イギリス自由主義の成立と展開(ホッブス;ロック;スコットランド啓蒙;功利主義)
転回―ルソー(実存的問題意識;社会・政治思想;「夢想」の世界)
19世紀ドイツ精神史(古典主義とロマン主義;観念論哲学;マルクス)
20世紀精神史への転回―ニーチェ(ロマン主義からの出発と決別;既存の価値の批判)
「実在」の探求(「モデルネ」の芸術;文化ペシミズム)
存在論的転回―ハイデガー(両義性の哲学;政治的関与―ハイデガーにおける「政治的なもの」)
戦後精神史(言語論的転回―ソシュールとウィトゲンシュタイン;20世紀マルクス主義―ルカーチとアドルノ;フランス実存主義―サルトルとメルロ=ポンティ;構造主義とポストモダニズム―レヴィー=ストロースとデリダ)
「存在」の耐えられない軽さ?

著者等紹介

小野紀明[オノノリアキ]
1949年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。京都大学法学博士(1987年)。京都大学法学部教授。2015年3月退職。西洋政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風に吹かれて

19
 著者は京都大学法学部教授を2015年退職。35年にわたって修正したり知見を加えたりしながら行った講義を書籍化。古代ギリシアからポストモダニズムまで、哲学・文学・芸術・科学など人間の営みを総体的に捉え時代精神に迫る。終章でミラン・クンデラを取りあげている。  「存在」とは、何なのか。自己、他者、そして人間が生を営む世界。この世界に存在することの意味を明かしだすことが人間の営みであり歴史なのかも知れない。 →2023/09/08

MrO

5
読み応えあった。実に、一月半にわたる読書だった。「今まさに巨大な過渡期にあることは、おそらく間違いない。しかし、出口はまだ見えない」で講義が閉じられるが、読み終えての感想は、過渡期でなかった時代はなく、出口から光が差し込んできた時代もなかったということだ。どの時代も、意味と自由を天秤にかけながら揺れ動いてきた誠実な思想の歴史だったということだ。二度目は、好きなところをつまみ食いしていこう。2015/06/21

かみゅ

3
小野先生渾身の大著。「精神史」とは聞きなれない言葉であったが、その時代の精神を理解することを目的とするという。ある人の思想を理解するには、その文脈となるその時代の“気分”を肌で感じとり、思想を追いかける必要がある、ということだろうかと理解した。引用が豊富なのもその手がかりとなるか。内容はかなり難解であるが、思わず夢中になってしまう魅力がある。高価だがかなりおすすめ。2016/02/08

うんとこしょ

2
各時代の哲学者や文学者などの思想を、原典を適時に引用しながら解説しつつ、それらの思想が如何に〈その時代に自明であると見なされている意味秩序を形成すること、そしてその秩序に訴えて人間を動かすこと〉そのものとしての「政治」――著者はこの定義を「常識的な意味での政治と区別して『政治的なもの』と呼ばれている政治概念に近い」と言う――との関係を持っているかについて考察を加えてゆく刺激的な本だった。就中、ルソーについての第5章からハイデガーについての第9章までの各章は夢中になるほどの面白さがあった。2015/08/20

木村マヤ(モクソン)

1
少しずつだが、1ヶ月ほどの時間をかけメモをとりながらの読了。最終章辺りのサルトル辺りがしっかりと理解できずに読み終わった(返却期限がきた)のが心残りか。思想史としては断片的なものではあるが、様々な作品の引用とおもに理解できるのが嬉しい構成。時代の流れとともにその時代に流れている精神や共通理解を手に取るように把握できる。2016/10/12

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