出版社内容情報
恐竜はなぜ絶滅したのか。その理由は専門家にはすでに解決済みのことである。にもかかわらず、いまだに新説が出されてはマスコミを賑わす。業を煮やした著者らは、有名雑誌に決着宣言ともいうべき論文を投稿した。四一人の共著論文だ。なぜ決着済みといえるのか。異説のどこが間違いなのか。とことん解説したのが本書である。
内容説明
恐竜はなぜ絶滅したのか。専門家にとってはもはや決着済みといえる絶滅の原因をめぐって、いまだに新説が出されてはマスコミを賑わす。これを憂えた著者らは、有名な科学雑誌に論争の余地なしとする決定的な論文を投稿。世界をアッと言わせた。なぜ決着済みといえるのか。異説のどこが間違いなのか。とことん解説する。
目次
1 論争決着へ―二〇一〇年
2 白亜紀末に運命がわかれた生物たち
3 小惑星衝突で何が起きたのか
4 挑戦を受ける衝突説
5 衝突説と反論を検討する
6 論争のゆくえ
7 新たな研究の始まり
著者等紹介
後藤和久[ゴトウカズヒサ]
1977年生まれ。東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター助教をへて、現在、千葉工業大学惑星探査研究センター上席研究員(東北大学客員准教授を兼務)。専門は、地質学、とくに地球外天体衝突と生物絶滅、原生代初期のスノーボールアース現象、先史・歴史時代の津波現象の解明、火星の地質研究など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ナカヂの雑多な本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
165
タイトルに「決着!」とあるのは、世間では未だに誤解するむきもあるようだが、実はもう恐竜絶滅論争には決着がついているのですよ、ということ。まず、1980年にアルヴァレズ父子が、地球表面にはほとんど存在しないはずのイリジウム層の存在から、小惑星衝突説を提唱。大量のダスト⇨地球の寒冷化⇨光合成の活動不可⇨食物連鎖により絶滅、と実に壮大かつ見事な推論だった。やがて1991年にはユカタン半島でチチュルプ・クレーターの発見と、いよいよ決定的な証拠が揃うことに。本書は、こうした経緯を実にわかりやすく説明してくれている。2014/10/14
calaf
11
恐竜絶滅の原因は、専門家の間では小惑星衝突説でほぼ固まっている。もちろん、だからと言って正しいと言い切ることは出来ないが、時々それ以外の説が報道され、一般の人は誤解している可能性が高い。この状況に終止符をつける意味で投稿されたレビュー論文の一著者が、内容を解説した本。確かに、専門家の間の認識と、一般の人の間の認識にずれが生じていることは、多くありそうだ...この件以外にも。2012/06/14
みなみ
6
Unlimitedで読了。恐竜は子供の頃ハマった。あんな大きい生き物があっという間に絶滅してしまうという劇的な流れも実は魅力のひとつだったのかもしれない。当時読んだ児童向けの本では火山噴火か小惑星衝突説が載っていた覚えがある。いまや時代は流れ、小惑星衝突説で定着しているようだ。小惑星の衝突跡もしっかり残っているという。そうなると、地球にそんな大きな小惑星が来るというのが怖い……2025/02/15
A.Sakurai
6
積ん読だったものが目についてふと読んでみた。小惑星衝突による恐竜絶滅は定説だが、むしろそうなったために小惑星衝突説でない仮説の方が報道価値が大きく世に知られるようになってしまったというパラドックス。これはフェイクニュースで問題になった、情報量が多いが故、SNSにより自分の好む解釈しか目に入らなくなって分断された情報世界を思わせる。それを避けるために、真っ当なメディア対策として高品質な情報を出していこうという発刊意図は分かるが、これもまた届いてもらいたいところに届くかどうか。2018/01/13
西澤 隆
5
最近10ヶ月も査読を待たされたあげく"stupid"と一言だけつけてRejectされた研究者のボヤきが話題になっていた。筆者が加わった2010年の論文の筆頭の方の経歴もすごい。この件の研究をするために入った大学院のゼミが、当時でももう少数派となっていた噴火原因説の大本山のようなところだったとは。子どもが院で地質の研究をしていることもあって、研究者の「だいたいじゃなく、周辺で見つかっている様々ななことをきちんと説明できる論を組み立てる」ことへの執着は「のぞき込んで共感」する感じ。なんとも凄まじい世界だなあ。2025/04/12