出版社内容情報
哲学史的な事情を踏まえてカントの認識論を見なおし、自然主義と全体論の観点からの近世哲学史理解へと導く。
内容説明
近代哲学はカントの認識論で素朴な経験主義を脱し、自然科学から自立したという理解は本当だろうか?哲学史的事情を踏まえるなら、カントの哲学は自然科学を形而上学によって基礎づけたのではなく、自然科学を基盤としてそれに形而上学の装いを与えたのではなかったか。自然主義と全体論の視点から近世哲学史を再検討する。
目次
第1章 論理空間が奇妙に歪んでいる―自然主義の伏流(『純粋理性批判』の初期の批評から;ロックとカントは相似形の枠組みの中で考えている ほか)
第2章 物自体はどこから来たのか―仮説的視点の劣化(なにごとも「体験」から?;デカルトの二元論に戻って ほか)
第3章 カントはいわゆる「一般観念」をこのように考えた―図式論の理解のために(英語の読めないカントはイギリス哲学をどのようにして読んだか;概念を直観化することとしての「構成」 ほか)
第4章 「無限判断」とは言うものの―伝統的論理学のよくない使い方(判断の量と質のおさらい;不確定言明とは ほか)
第5章 自然科学なのに無理に形而上学のふりをして―『純粋理性批判』の背面の論理(アプリオリな総合判断には二つの種類がある;「概念から」―形而上学(純粋哲学)の場合 ほか)
著者等紹介
冨田恭彦[トミタヤスヒコ]
1952年生。1975年京都大学文学部哲学科卒業。81年同大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻:哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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