内容説明
現在の演奏会の姿はどのように形づくられたのか。従来の声楽優位に代わって交響曲を中心とする器楽演奏がクラシック・コンサートのメインとなったのはいつどのような理由によるのか。器楽優位を支える論理の発生やオペラ(歌劇)の変容、演奏者や聴衆(消費者)の変化など、近代の文化装置としてのコンサートとそれを取り巻く諸要素を、ヨーロッパ全域にわたり歴史的に分析する。
目次
序章 交響曲はいかにしてコンサートの主役になったのか
第1章 言葉にできない音楽
第2章 オペラの覇権
第3章 コンサート市場を成立させたもの
第4章 交響曲の正当化と受容
第5章 言葉にできない音楽の言葉による領有
著者等紹介
宮本直美[ミヤモトナオミ]
1969年生。東京藝術大学大学院音楽研究科音楽学専攻修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専門分野博士課程修了。博士(社会学)。東京大学文学部助手を経て、立命館大学文学部教授。専門は音楽社会学・文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Susumu Kobayashi
2
今日のように、一般的なクラシック音楽のコンサートが、交響曲を中心としてプログラムが編成されるまでの歴史をたどっている。当初、というのはハイドンたちが活躍していた時代、コンサートの中心はオペラのアリアなど声楽曲に序曲や交響曲の一部(しばしば単一楽章のみ)から編成されていたという。やがて、ベートーヴェンの交響曲など、難解な曲は何度も繰り返し聴くことが奨励される。レコードやCDなどがない時代、曲を聴きたければコンサートに足を運ぶしかなく、繰り返し聴くのは難しかっただろう。その点ではいい時代になったものだ。2016/10/12
FK
1
この書名から、私の従来からの疑問が払拭されるのではないかとの期待を持って読んだ次第。結論から言ってまだまだ分からないことがあるが、おおよその輪郭というか映像が浮かび上がってきたような気がする。 ヨーロッパにおいてはなぜかくもオペラが隆盛であったのかという疑問がまず第一。結論としてはまずオペラといってもジャンルとしては「声楽」ということで、これは「器楽」に対するものとして、当時の社会では人気を博していたということ。換言すれば、そも交響曲などの「器楽曲」は社会的に認知されていなかったということのようだ。2016/05/24
uusak
0
交響曲のコンサートに行くのはつい身構えてしまう。そうなった経緯がある程度理解できました。2016/05/19
horada
0
***2024/04/13