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岩波現代全書
「東アジアに哲学はない」のか―京都学派と新儒家

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291378
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0310

内容説明

アジアは古代ギリシアの哲学と同様に、仏教や儒学のような優れた思索の伝統を生み出しながら、なぜ西洋の近代哲学のような、現代世界の思想文化に多大な影響を与える「哲学」をもたないように見えるのだろうか。西洋の近代哲学と向き合いつつ東アジアからの哲学的貢献を目指した京都学派と、中国思想を西洋哲学と対等な思想体系として再構築しようとした新儒家をとりあげ、東アジアの「哲学」がもつ新たな展開の可能性を考察する。

目次

第1章 東アジアと西洋哲学―「哲学なし」とはどういうことか(近代哲学の歴史的意義―ベーコン、デカルト、そして「未来の哲学」;「哲学」からみた東アジア思想;「哲学」受容がはらむ問題;「東アジア哲学」の分岐点―会通かそれとも寄与か)
第2章 京都学派が切り開いた途―哲学への貢献を目指して(「西田哲学」はなぜそう呼ばれるのか;自覚・場所・世界;場所的論理の位置づけ―哲学と仏教に対して;西田から京都学派へ)
第3章 新儒家が進んだ途―会通から見えてきたもの(中国思想の再建とは何を意味するのか;牟宗三による「中西哲学の会通」;後期牟宗三の円教論―仏教的存在論をめぐって;新儒家により拓かれた地平)
第4章 二つの途は交錯するのか―「東アジア哲学」の諸条件(京都学派に取って代わったもの;戦後京都学派の新機軸;新儒家からポスト新儒家へ;統一理論の可能性)

著者等紹介

朝倉友海[アサクラトモミ]
1975年京都市生まれ。京都大学理学部卒、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(哲学)修了、博士(文学)。現在、北海道教育大学准教授。専門は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

東隆斎洒落

9
14.8.26◆アジアは仏教や儒学を生みながら、なぜ現代文化に影響を与える「哲学」を持たないように見えるのか? という問いに、京都学派と新儒家の思想で反論する本。両学派ともに西洋哲学の再構築を目指すものの、日中関係から融合できなかった歴史はナルホドと。しかし、哲学と宗教が同じ源泉であった東洋の「教え」と、それが別々に発展した西洋の「哲学」。自己があって世界がある二元論的な西洋と、世界の中に自己がある東洋。西洋的自然支配の限界が叫ばれる中、東洋独自の発展に大いに期待したい、と思いながら読了。 2014/08/26

左手爆弾

4
表題の問いについて、日本の京都学派と中国の上海の新儒家とに注目することを通して論じる。哲学の営みを「起源・発展・転回・再開」として、東アジアにも転回(京都学派)と再開(新儒家)とがあることを指摘する。西田や新儒家の文脈には詳しくないのでなんともいえないが、古代はともかく、近代以降にも東アジア哲学が存在することを指摘している。非常に挑戦的な書き方である。ただし、私にとっては何故儒学や仏教といった伝統思想と西洋哲学が対決しなければいかないかがわからない。そうした伝統と無関係な哲学があってもいいのではないか。2014/07/29

非実在の構想

2
京都学派も新儒家も仏教に取り込まれていく様が興味深い2020/06/06

在我壷中

0
違和感のみに読後感?・・・では『神道』は『宗教』?かと。『イデア』?・・・プラトン哲学の中心概念、理性によってのみ認識されうる実在、感覚的世界の個物本質・原型・・・(広辞苑)横山大観には『写生するな、見えないものを観て、見る人に観える様に描け』と。ゴッホには『烏が群れ飛ぶ麦畑』へ何を?見る人は何を観たのか?没後の現代の評価?や如何に。漢詩には『梅』、和歌には『桜』中華へ『桜』存在しない。現代経済学用語へ、医学用語へ同様の違和感を。日本語とは?日本語では世界経済を、現代医学を語れないと?・・・2014/09/20

鯨、或は山田

0
西田哲学、新儒家ともに、議論を後世に引き継ぐこと無く立ち消えた(かに見える)先鋭化された思想である。本筋とは離れるが、西田と仏教との結びつきにおいて、『大乗起信論』ではなく新儒家を引いて天台の円鏡・華厳との関連を断言したのは非常に興味を引いた。それはともかく、これらの思想が互いに、或いは他の学派との研鑽・議論・批判をすること無くガラパゴスの中で絶えてしまったが故に、現在のような潮流になってしまったと指摘し、開かれた現代において改めて俎上に載せることで今後の発展を鼓舞する、というような印象を受けた。2014/09/06

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