岩波現代全書
焼跡からのデモクラシー〈上〉―草の根の占領期体験

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000291255
  • NDC分類 210.76
  • Cコード C0321

出版社内容情報

戦後日本の民主主義は「与えられた/押しつけられた」ものなのだろうか。日本の民衆が、アジア太平洋戦争の過酷な体験を決定的な契機として、戦前からの平和・自由・共助などの伝統的価値観の基盤の上に、民主主義を自ら作りあげ、獲得していったことを、彼らが残した日記や雑誌への投稿、聞き取りなどを通して明らかにしてゆく。

内容説明

戦後日本の民主主義は「与えられた/押しつけられた」ものなのだろうか。占領下の時代、人びとが、アジア太平洋戦争の過酷な体験を決定的な契機として、戦前からの平和・自由・共助などの伝統的価値観の基盤の上に、民主主義を自ら作りあげ、獲得していったことを、彼らが残した日記や雑誌への投稿、聞き取りなどを通して明らかにする。上巻では、焼跡の中で人びとが平和や戦争責任・天皇制、自由と民主主義などについてどのように考えていたかを辿る。

目次

第1章 戦争から戦後へ(ある若者の戦中・戦後―大阪市電車両修理工場職員の場合;ある徴用工の戦中・戦後―大阪陸軍造兵廠徴用工の場合;ある民間知識人の戦中・戦後―東京・馬込隣組役員の場合)
第2章 平和の構想(平和主義の成立;原爆と平和)
第3章 平和意識の獲得(ある砥石屋の体験;ある国鉄労働者の体験;中島飛行機女子職員の体験)
第4章 戦争責任論と天皇制(民衆の戦争責任論;極東国際軍事裁判(東京裁判)に対する反応
他のアジアに対する責任論
天皇の戦争責任をめぐって)
第5章 自由と民主主義の再創造1(民主主義の論議;三菱重工横浜造船所工員の体験;町工場の旋盤工の体験)

著者等紹介

吉見義明[ヨシミヨシアキ]
1946年山口県に生まれる。1970年東京大学文学部卒業、1972年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、中央大学商学部教授。専攻、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

24
速読できない内容の本。戦で苦しむ人に申し訳ない。歴史修正主義に対する異議でもある。『上伊那青年新聞』は文化国家を説明。文化国家は文化の向上発展を目的とし、平和を求め道義と正義に立たんとする。平和国家、道義国家でなければならない(1949年2月3日号、33頁)。今日でも有意義である。徳川義親がつくった世界恒久平和研究所理事稲垣守克は、憲法9条の戦争放棄は日本文化の本質と一致し、人間としてあるべきこと、正しいこと、日本として生きる道とした(41頁)。2015/02/14

Toska

15
日本人が「戦後」という時代に抱いた思いを、当人が書いた文献(日記など)にこだわって掘り起こしていく試み。人々は敗戦をどう受け入れ、立ち向かったのか。闘争的な労働運動に身を投じる者、功利に突き進む者。日本の庶民層に独特の「修養」という感覚。原爆の惨禍に憤りながらも、一部に原子力を光明と見、被爆体験を貴重な犠牲とする受け止め方があったのに驚いた。多種多様な世界観が渦巻く中、新旧の価値観をミックスさせた「天皇制民主主義」が徐々に形成されていく。同時代史料の面白さが堪能できる一冊。2024/07/14

takao

2
ふむ2020/04/03

Masakazu Fujino

2
非常に興味深い内容でした。敗戦後の日本の民主主義は、戦前からの平和・自由・共助などの伝統的価値観を基盤にして、戦中の過酷な体験を契機として、自ら作り獲得していったことを、庶民が残した日記や雑誌への投稿や聞き取りで明らかにしたもの。オーラルヒストリーの手法で当時の人々が、平和や戦争責任・天皇制、自由と民主主義についてどのように考えていたかを考察している。2015/04/22

@matsu

2
非常に問題意識とかみあう。戦後70年の今年だから、日本人が戦前・戦中・戦後にどんなことを考えていたのか、戦争責任(天皇、アジア侵略)をどうとらえ、憲法の価値観をどう受け止めたのか。日記や新聞への投稿で当時の人々の考えや気持ちが生き生きと伝わってくる。70年は長いと思っていたけど、断絶されているだけで、実は地続きだということに気付かされる。2015/02/18

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