出版社内容情報
恩師・渡辺一夫の死後、著者はメキシコ・シティーで「猶予期間」を過ごす。そして道化=トリックスターの精神の技術に導かれ、小説の両面価値的な力を方法として捉え直していく――。国外で弾圧を受ける詩人・作家に連帯しながら、未来の文学、「再生」の主題を構想する、『ピンチランナー調書』『同時代ゲーム』にいたる転換点。
内容説明
文学=「人間の仕業」の可能性。危機に面して人間の再生の契機となし、滅びながら抗う道化であるところの作家の精神の技術。著者自ら編んだエッセイ・評論集成。
目次
1(なぜ人間は文学をつくり出すか)
2(未来の文学者;ソルジェニーツィン『収容所群島』の構造(講演)
表現された子供(講演)
全体を見る眼(講演))
3(諷刺、哄笑の想像力;道化と再生への想像力)
4(わが猶予期間)
未来へ向けて回想する―自己解釈(八)