内容説明
戦後の「総決算」からなし崩しの転換へ。経済大国化による新たなナショナリズムと、国際化・多様化とのせめぎ合い。
目次
1 ジャパン・アズ・ナンバーワン(中曽根康弘―「戦後」を終わらせる意志;上野千鶴子―消費社会と一五年安保のあいだ;高木仁三郎―「核の時代」と市民科学者;大橋正義―バブルに流されなかった経営者たち)
2 国際化とナショナリズム(ジョアン・トシエイ・マスコ―「第二の故郷」で挑戦する日系ブラジル人;安西賢誠―「靖国」と向き合った真宗僧侶;宮崎駿―職人共同体というユートピア;『地球の歩き方』創刊メンバー―日本型海外旅行の精神)
3 天皇と大衆(奥崎謙三―神軍平等兵の怨霊を弔うために;朴正恵と蔡成泰―民族教育の灯を守るために;美空ひばり―生きられた神話;知花昌一―日の丸を焼いた日)
著者等紹介
杉田敦[スギタアツシ]
1959年生。法政大学教授。政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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numainu
2
評価A2016/06/17
Rusty
0
岩波っぽい内容だなぁ…というのはさておき、その時代に生きた人々がどんなことを感じ取って、考えて、行動したかに迫るというのは大変意義深い。「産業の空洞化」なんて言葉の表すところは分かってるつもりだが、仕事がなく毎日ヒマで残業が全くないから手取りが少ない、ある会社は長年付き合いのある下請けをつぶさないために売れる当てのない部品を発注し続けていた、なんていうエピソードを知るとグッと肉付けされて感じられる。大橋正義、ジョアン・トシエイ・マスコ、安西賢誠、奥崎謙三、知花昌一の章が特に面白かった。2016/07/21