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定本 見田宗介著作集〈9〉宮沢賢治―存在の祭りの中へ

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  • サイズ B6判/ページ数 311p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000284899
  • NDC分類 361.08
  • Cコード C0336

出版社内容情報

「わたくしという現象」に注目する先駆的視点から驚くべき洞察を示した宮沢賢治.現代思想にまで影響を及ぼす稀有の詩人の生に踏み込み,豊饒な作品世界に沈潜する著者は,その思想の核心を照らし出す.そうして読者は「生と世界の肯定へ」,「存在の祭りの中へ」と解き放たれていく.収録作品:『宮沢賢治――存在の祭りの中へ』

内容説明

詩人の作品世界に沈潜し、その生と思想に共振する。テクストに改訂を加え、巻末に「定本解題」を収録する。

目次

序章 銀河と鉄道(りんごの中を走る汽車―反転について;標本と模型―時空について;銀河の鉄道―媒体について;『銀河鉄道の夜』の構造―宮沢賢治の四つの象限)
第1章 自我という罪(黒い男と黒い雲―自我はひとつの現象である;眼の赤い鷺―自我はひとつの関係である;家の業―自我はひとつの矛盾である;修羅―明晰な倫理)
第2章 焼身幻想(ZYPRESSENつきぬけるもの―世界にたいして垂直に立つ;よだかの星とさそりの火―存在のカタルシス;マジェラン星雲―さそりの火はなにを照らすのか;梢の鳴る場所―自己犠牲の彼方)
第3章 存在の祭りの中へ(修羅と春―存在という新鮮な奇蹟;向うの祭り―自我の口笛;“にんげんの壊れるとき”―ナワールとトナール;銀河という自己―いちめんの人生)
第4章 舞い下りる翼(法華経・国柱会・農学校・地人協会―詩のかなたの詩へ;百万疋のねずみたち―生活の鑢/生活の罠;一一月三日の手帳―装備目録;マグノリアの谷―現在が永遠である)
補章 風景が離陸するとき―シャイアンの宮沢賢治(土性調査―空間する時間;天空の地質学―現在する過去;風景が離陸するとき―すきとおる世界;銀河の鉄道―賢治の現在せい;シャイアンの宮沢賢治―普遍する土着)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shin

9
子どもの頃に読んで恐ろしくなるくらいに鮮烈な情景が浮かんでいた賢治の童話を、大人になってから読むと何も共鳴しないことに首を傾げていたのだけれど、見田宗介のこの「賢治論」を読んで納得がいった気がする。賢治がその資質として「生活の下半身」すなわち生殖と生計を保留したまま、イノセントな魂を自然と共鳴させて編み続けた詩と物語は、生活の垢にまみれた大人の心には響かないのも当たり前なのだろう。かくいう賢治も理想の自然像に融合しきれず、その挫折の表明として〈雨ニモマケズ〉の詩が生まれたことを初めて知った。2013/01/05

takizawa

4
宮沢賢治の研究書。「人生と世界に対する鮮度の高い感受性と,深くものごとを考えようとする欲望とだけをもったふつうの高校生たち」に呼びかけるつもりで書かれた本。略歴を見るだけでも,家業の店番→上京してガリ版切りのアルバイト→帰郷し学校の先生→百姓<生計は親頼み>→病床といったように不本意さや挫折との葛藤の中にあったことは想像に難くない。器用に生きられないと感じている人ならば読んで得るものがあるはず。2012/07/21

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