内容説明
イスラーム世界の日本観に大きな影響を与えた、ロシア出身のトルコ系ムスリムによるユニークな見聞記。日本側の関連資料も多数併載。
目次
トルキスタン(タシュケント;旧ブハラ;サマルカンド;フェルガナ州;セミレチエ州 ほか)
日本(日本到着;日本の村―米原;力車―人が引く車;横浜;盲人 ほか)
著者等紹介
小松香織[コマツカオリ]
1956年、愛知県生まれ。1993年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。トルコ近代史専攻
小松久男[コマツヒサオ]
1951年、東京都生まれ。1980年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院特任教授。中央アジア近現代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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本の蟲
10
このところ外国人による滞日記を読み進めているが、もっぱら西洋人のものばかり。はて?と思って手に取った一冊。著者は帝政ロシアに征服されたブハラ(現ウズベキスタン)出身のタタール人。日露敗戦に揺れるロシア領内で、新聞発行を通じて抑圧的な対ムスリム政策に反対した民族運動家。当局に追われる形で中央アジアから東へ足を延ばし、日本、朝鮮、中国を周り、旅行記『イスラーム世界』を発行した。半年ほど滞在した日本については内容の1/3を占め、大変好意的。チンギスハンとも縁がある韃靼人の志士として、大歓迎を受けたようである(続2021/12/05
ドウ
2
ロシア国籍のタタール人による日本での活動記録。旅行記と呼ぶにはかなり政治的で、日中合邦論を掲げてアジア主義者や大物政治家(伊藤や大隈)と対話したり、宗教に興味のない日本人にどうやってイスラームに改宗してもらうかなどをあれこれ考え、ジャーナリストや政治家と度々議論したりする内容が多い。彼から見た日本観も面白いが、その後彼は東京ジャーミィのイマームを務めたりかの井筒俊彦にアラビア語を教えたりもしたらしいということも興味深かった。2016/07/15
可兒
0
何十年か前に出ていた抄訳の新版。色々新しいことが分かると同時に、旧版をそのまま使って発表していた自分を思い出して冷や汗2013/09/25