出版社内容情報
経済学の祖アダム・スミスの主著『国富論』を中心に、彼の著作を18世紀後半のイギリス社会の文脈の中に位置づけて、縦横に読み解いていくことで、何が見えてくるのか。彼が当時の現実にどのように向き合っていたか、彼の考え方がどのようなものであったかを明らかにするとともに、彼の経済学を現代の視点から読み直す。
内容説明
経済学の祖アダム・スミスの主著『国富論』を中心に、彼の著作を18世紀後半のイギリス社会の文脈のなかに位置づけ、縦横に読み解いていくことで、何が見えてくるのか。彼が当時の現実にどのように向き合っていたか、彼の考え方がどのようなものであったかを明らかにするとともに、彼の経済学を現代の視点から読み直す。
目次
序 話しのいとぐち
第1話 アダム・スミスの時代
第2話 分業
第3話 価格と競争
第4話 成長
第5話 重商主義の弾劾
第6話 自然と科学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごうた
1
慶大教授、丸山徹氏による『国富論』解説書。読書会での原稿に加筆修正しているため、口語体で読みやすく、原著からの引用には、岩波文庫の巻頁数が付されており、便利である。肝心の内容も、スミス自身が重視したbook1.2.(理論、理念型。分業と資本蓄積)とbook4(政策提言。重商主義批判)を重点的に解説してくれる。さらに、一般人にはマイナーな『天文学史』からスミスの科学観を分析したり(本書6話)、スミスの攻撃した重商主義の意味合いの正当性を考察する(本書5話)など、新しい学びの多い一冊だった。2019/02/18
Nさん
1
『国富論』を哲学する。スミスが活躍した時代の歴史背景の説明から始まり、国富論の主要な概念の再考を行う。スミスがマルクス的労働価値説の元祖だとの俗論は誤読であることや、スミスが徹底批判した重商主義とは一体何か?を解説する。スミスが多用した「自然」。それは自然にそうなること(存在)とそれが望ましい状態(当為)であることが調和された言葉。その調整力が経済には備わっていると中々楽天的。また、有名ではないスミスの『天文学史』から彼の精神性・科学的基礎を浮かび上がらせる。単なる国富論の概要書に非ず、示唆に富んだ一冊。2018/09/28
kiriya shinichiro
0
岩波市民セミナーの講義録だそうです。予想していたより、読むのに素養のいる本でした。古典といわれてる本について勉強したり、読んだりするたびに思うのは、今の時代に書かれたものじゃないから、前提や常識は違うんだよってこと。トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』みたいな本もあるわけだけど……。『資本論』は最初で投げ出しちゃったしな……。2014/02/24
4047
0
アダムスミスの哲学、特に重商主義批判に対する筆者の透徹した理解と共感が感じられた。 原書も手にとって理解を深めたい。2018/11/09