感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
バーリンはロマン主義をあらゆる既成の秩序に対する憎悪と結びつける。この憎悪はドイツ知識人の文化的劣等感や政治的無力感から生じる。カール・シュミットのロマン主義理解と通ずる見解だ。シュミットがロマン主義をドイツ的自由主義と結びつけたように、バーリンもまた自由主義にロマン主義の遺産を見出す。だが、その歴史解釈は分かれる。シュミットはロマン主義を決断できないリベラル民主主義に直接結び付ける。バーリンは逆にロマン主義は互いに通約不可能な世界観の衝突を生んだとする。リベラル的寛容は悲劇を避けるものとして評価される。2019/08/30
遠山太郎
1
最後に持ってかれた。だからこそ、読むべき本だ。バーリンやロマン主義やドイツやバイロンに少しでも興味があるのなら。第1章 定義を求めてから。末尾31p。「私はこの見解を共有しないということを否認するわけにはいかない。私には、これはあまりにも敗北主義的に思われる。それ故、私は、私の見方においてロマン主義運動が根本的な点で到達した形態を説明することに最善を尽くしたい。これに接近する唯一のまともで分かり易いやり方、少なくとも私がともかくも有用であると思ったやり方は、ゆっくりとした辛抱強い歴史的方法である。2013/04/29
kushuka
1
『自由論』のイメージとは一風変わったバーリンの著作。美術・文学専攻の人にオススメ。論拠が曖昧だったりと学術的な誠実さには欠けるかもしれないが、講義録だけあってとてもエネルギッシュで読んでいて飽きない。この最後のぶっ飛び方が素晴らしい。「ロマン主義の結果は、こうして、自由主義、寛容、品位であり、生の不完全さの評価である。これはロマン派の意図から非常に離れていた。...一つのものを目指しながら、彼らは、われわれすべてにとっては幸いなことに、ほとんどまったく正反対のものを生み出したのである。(p.225)」2012/12/23
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- 和書
- 鎌倉幕府訴訟制度の研究