内容説明
現代における自由への脅威とはなにか。自己決定や自己統治、セキュリティという問題は、自由になにをもたらしたのか。自由を現代社会に生きる私たちの“間”にある公共の問題としてとらえ直し、他者とともに自由であることの条件をさぐる。人間の条件としての自由―その概念の更新。
目次
1 自由概念の再検討(自由への脅威;消極的自由への批判)
2 自由の擁護(自由の再定義;自由の規律;自由と安全;自由と公共性)
3 基本文献案内
著者等紹介
齋藤純一[サイトウジュンイチ]
1958年生まれ。横浜国立大学経済学部教授を経て、早稲田大学政治経済学部教授。政治理論・政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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politics
3
バーリンの二つの自由概念等の議論を軸に、アレント、フーコーらの議論も参考に「自由」についてまとめられた一冊。なかでも、自由における共約/非共約的次元での整理の仕方は興味深く、本書の中でも軸になりうるものとも感じた。「自由」概念を考える際、やはり日本における「自由」と主に西洋諸国での「自由」の共通性、異動性をどう捉ええるかも重要な問題になるだろう。2021/11/13
遠山太郎
3
アレント「自由とは何か」『過去と未来の間』、フーコー「自由の実践としての自己への配慮の倫理」『思考集成X』を読んで再読しよう。文中の文献もあらかた読みたい。/フーコーやアレントを言うなら、バーリン消極的自由negative libertyから論じるのはミスリードな気が。近代リベラリズム=バーリンになるわけでなく、そう思ってるわけでもないんだろうけど..つまりは批判でなくても、もっと生産的にできるはず。バーリン「理想の追求」(選集4)を引いてるように単純でないし。1章良いのにFreedomの本だから?..2014/02/20
korouke
2
この高密度は異常。公共性の議論とからめた政治哲学上の「自由」の規範的な定義。んー読みにくい。2009/01/22
ステビア
1
充実した良い本と思います 自己への自由。2013/08/03
世人
0
バーリンの消極的自由概念の再検討をはじめとして、単に干渉からの解放に留まらない「自由」概念の諸相についての簡明な入門書。自己を排他的に支配する主権的自由という考えを否定し、絶えず他者と出会うことで、「今の自己」と異なる自己への変化をなしうることに「自由」を見出す箇所が出色。このような「運動の自由」こそ人間的事象に不可欠の部分であり、取り除かれるべきでないものであることを筆者は強く主張する。2024/03/14