出版社内容情報
ラディカルなリベラリズムの立場から,天皇制と会社主義に支配された日本型共同性を批判する.戦争責任や政治腐敗など,戦後的状況と対峙し,批判的民主主義による日本社会の倫理的再編をデザインする.
内容説明
天皇制、会社主義、民主政治の機能不全―戦後日本的制度の病状は危機的である。私たちの生の「貧困」を、リベラリズムの原理によって解剖し、「批判的民主主義」に基づく変革の青写真を描く。日本型システムの倫理的再編をデザインする。
目次
“哲学の貧困”から“貧困の哲学”へ
第1部 関係の貧困(天皇制を問う視角―民主主義の限界とリベラリズム;補足と解題―天皇制・民主主義・リベラリズム)
第2部 共同性の貧困(個人権と共同性―「悩める経済大国」の倫理的再編)
第3部 合意の貧困(合意を疑う;政治的知性の蘇生に向けて;コンセンサス社会の危機と変革)
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
1954年生まれ。専攻、法哲学。東京大学法学部卒業。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。主著に『共生の作法―会話としての正義』(創文社)、『共生への冒険』(共著、毎日新聞社)、『自由・権力・ユートピア』新・哲学講義7(共著、岩波書店)、『他者への自由―公共性の哲学としてのリベラリズム』(創文社)、『変容するアジアの法と哲学』(共編著、有斐閣)、『法の臨界』(全3巻、共編著、東京大学出版会)
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感想・レビュー
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あつなか
1
天皇制は関係の豊かさと対立する、会社主義は個人の自律と対立する、民主主義はリベラルデモクラシーを志向するにはCDでなければならない 井上著書もこれで6冊目であり彼の問題意識と提言の方向性もだいたいわかってきた。個人は自律的存在であり、また、他者、コミュニティに対して一定の責務がある。自律を脅かしても責任を放棄してもならないという点で個人にも社会にも厳しい指摘をされる。 素晴らしい洞察と通底する人間愛を感じるが、人はそこまで逞しいのか。果たして自分はそこまで逞しく生きていけるか。他人に求められるか
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