出版社内容情報
古代オリエントに誕生し,人間の歴史にはかり知れない影響をおよぼした壮大な物語の殿堂が,現代の日本語によみがえる.宇宙の創成,民族千年の興亡,終末観に閉ざされた社会と文化,愛のよろこびに震える魂の歌-ここにはすべてがある.旧約聖書学の進展を踏まえ,最前線に立つ気鋭の訳者陣が渾身の力で取り組む,画期的な新訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
64
モーセ五書の最初の2巻になります。モーセの誕生から有名な出エジプトに至るまでの物語は、まさに小説のような雰囲気があり、引き込まれました。聖書に出てくる最初の偉大な人物といえばやはりモーセだと思わずにはいられません。様々な律法ときよいものと穢れたものとを分別した定めを全て守る生活こそが神のもとの生活であると説きますが、全てを守る日常がどのようなものであるかは、中々想像するのが難しいところではあります。2016/11/30
姉勤
22
前巻(?)でエジプトの宰相的なヨセフがいながら、数百年後にはエジプトの奴隷として生きているユダヤ人。そのユダヤ人を解放するためモーセに啓示を与える神ヤハウェ。報復というには苛虐極まる「罰」をエジプト人に与え、約束の地への導きも荒野をゆく怨嗟渦巻く道中。中間管理職的モーセの辛さ。祟りと奇跡の出し惜しみをユダヤ人に示した後は、祭祀祭事のマニュアルと祭具、祭場の仕様書、そしてレビ記に連なる諸事の規則と掟、諸法度。とにかく何はするな、これは食うな、ヤるなと、事細かく連綿と書かれており、口煩い神である。2017/08/10
きゃんたか
17
神の業を人間心理でぶつぶつ言うことは絶対者への畏れをあまりに軽く見るというものであり、賢明なこととは言えない。目の前の地響き一つとっても、我々に何が出来るだろうか。ただ畏れ、受け入れる他ないのである。聖なるものである神は、救われたイスラエル民族にも聖なるものであることを要求するが、その要求には神の民への愛が常に息づいていることを忘れてはならない。聖なるものの対極には常に俗なるものがあり、頑ななファラオとエジプト、不平不満を訴えるイスラエルの民達は神の愛を悟ることなく死に追いやられた。2017/05/23
gogo
12
『出エジプト記』:イスラエルの民のエジプトでの艱難辛苦、エジプトからの脱出、葦の海の奇跡、脱出後の流浪、シナイ山でのモーセの十戒(神から十戒を受ける)など。エジプトではイスラエルの民が王の嫌がらせを受け,神(ヤハウェ)がナイル川の水を血に変えたり、イナゴを大量に発生させる。また、エジプト脱出時には海が割れたりと、この辺りは読んでいて物語として面白い。モーセの十戒は契約締結。『レビ記』:儀礼や安息日や禁忌などの規程集。繰り返しや反復が多い。読み物としてはつまらない。2018/04/20
🍭
3
何をしたかは大して知られてないけど、有名なモーセさんが登場します。ファラオが無能、まるで太平洋戦争の日本みたいな無能っぷりを遺憾なく発揮し、大量の自国民を無駄死にさせる。そして、ヤハウェ神様先輩さんの容赦ない残虐性が光っている。民族が違うというだけで、同じ人間にここまで酷い扱いをしていることに、イスラエルの民は恐れとともに、疑問や不快感を抱かなかったんですかね。全然関係ない人間まで殺してるし、普通にこの神様はぽんこつだと思う。2016/09/05