白水Uブックス
ミス・ブロウディの青春

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  • サイズ B40判/ページ数 202p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560072035
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

出版社内容情報

女子学園の教師ミス・ブロウディはお気に入りの生徒を集め、圧倒的な個性と情熱で少女達を導き、一流になるための教育を授けるが……

いまが私の人生の最良の時なのです

 一九三〇年代のエディンバラ、女子学園の教師ジーン・ブロウディはお気に入りの生徒を集め、彼女たちを「一流中の一流」にするための独自の教育を授けた。数学が得意で癇癪持ちのモニカ、セックス・アピールで有名なローズ、体操に夢中のユーニス、発音がきれいで空想好きなサンディ、美人で女優志望のジェニー、いじめられっ子のメアリー。少女たちはブロウディ先生の薫陶を受け、進歩的な思想、芸術の教養から肌の手入れ法や美しい歩き方、先生自身の恋愛体験まで、あらゆることを教わった。先生を中心に団結した〈ブロウディ組〉の六人は、親衛隊として、先生の追放を画策する校長に抵抗したが、その中からひとりの裏切り者が……。圧倒的な個性と情熱で生徒を導く女性教師と、彼女に魅了されながらもやがてその支配を脱していく少女たちを、巧みな構成で描いた名作。

【著者紹介】
1918年、スコットランドのエディンバラで生まれる。学校教師、アフリカでの短い結婚生活、第二次大戦中の政治情報局勤務、雑誌編集者等を経て、1951年、短篇「熾天使とザンベジ河」が《オブザーヴァー》紙の懸賞小説に入選。長篇第一作『慰める者たち』(57)の後、『死を忘れるな』(59)で批評家の称賛を集め、『ミス・ブロウディの青春』(61)の成功により人気作家となる。1967年にイタリアに移住。小説の他、詩、戯曲、ラジオドラマ、評伝などを手掛けた。『独身者』『マンデルバウム・ゲイト』『運転席』『邪魔をしないで』『寝ても覚めても夢』『バン、バン! はい死んだ』(短篇集)などの邦訳がある。2006年、フィレンツェで死去。

内容説明

1930年代のエディンバラ、女子学園の教師ジーン・ブロウディはお気に入りの生徒を集め、彼女たちを「一流中の一流」にするための独自の教育を授けた。その圧倒的な個性と情熱に心酔し、“ブロウディ組”と呼ばれるようになった六人の少女は高等部にあがってもブロウディ先生のもとに集まり、親衛隊として、先生の教育方針に疑念を抱き追放を画策する校長に抵抗したが…。20世紀イギリス文学を代表する名作。

著者等紹介

スパーク,ミュリエル[スパーク,ミュリエル] [Spark,Muriel]
1918年、スコットランドのエディンバラで生まれる。学校教師、アフリカでの短い結婚生活、第二次大戦中の政治情報局勤務、雑誌編集者等を経て、1951年、短篇「熾天使とザンベジ河」が“オブザーヴァー”紙の懸賞小説に入選。長篇第一作『慰める者たち』(57)の後、『死を忘れるな』(59)で批評家の称賛を集め、『ミス・ブロウディの青春』(61)の成功により人気作家となる。1967年にイタリアに移住。小説の他、詩、戯曲、ラジオドラマ、評伝などを手掛けた

岡照雄[オカテルオ]
1930年、福岡市生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授、県立福岡女子大学名誉教授・元学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

329
主題のわかりにくい小説である。タイトルは原題通りなのだが、ではミス・ブロウディに青春はあったのか。実は、彼女が多感な十代の頃にそれはなかったのだ。彼女がブロウディ組をしたがえて「私の生徒は一流中の一流」という時、自らの喪失した青春を若い彼女たちに投影していたのだろう。第一次大戦後の戦間期にあって、ミス・ブロウディは得るものよりも失うものの方が多かった。そこにはエディンバラの置かれた特殊性もあっただろうが、何よりも彼女にそれを強いたのはその時代である。ブロウディ組も瓦解し、彼女に残されたものは何もなかった。2017/02/22

まふ

108
1930年代、エディンバラの寄宿制一貫女子学校の風変わりな女性教師ブロウディ先生と生徒たちの物語。思い込みの激しいこの先生は自分の世界観に相応しい生徒を育てるために6名のブロウディ組と呼ばれる少数精鋭的生徒のグループを結成し独特の教育を進める。ムッソリーニに心酔しヒトラーの思想に共感するという点で、この先生の価値観は異常であり、読んでいて「おや」と思わせられる。結局は校長に教師を解任され彼女の試みは瓦解する…。この教師は結局何をしたかったのだろうか。どうもスカッとしない物語だった。G1000。2023/11/12

HANA

59
エディンバラの女学校の先生、ミス・ブロウディはお気に入りの生徒たちが「一流中の一流」になるように英才教育を施す。しかしその結果……。著者独特のシニカルな人物観は相も変わらず健在で、皮肉と冷笑に頬を緩めながら読み進める。順当に読むならば少女たちの成長物語なのだろうけど、物語の早い時点でそれぞれの未来や末路が明かされている上、先のシニカルな様子などからとてもそうは思えない。しかし『死を忘れるな』もそうだけど、登場人物の微妙な心理を描き出すのが上手い。今回は作中の時間が長いので、より一層その変化が楽しめた。2016/07/22

harass

54
最近この作家の名を見るので入門として借りる。女学生とその先生の意地悪な視点の群像劇。個人的に『ロウフィールド館の惨劇』を連想してしまった。早い段階で登場人物の運命がわかると、逆説的に読中に彼女らの言動について読み手の印象が少し変化するのかもしれない。初読なのに再読しているような。人を評価し操ろうとする彼女らのエゴは、醜く滑稽だ。なんどもでてくる「人生最良のとき」のフレーズは、その時々の状況とズレがあり、苦々しさを感じる。しかしなんという空虚さ。英国らしい小説のような気がする。2017/03/01

NAO

52
お気に入りの生徒たちを「ブロウディセット」として、「一流中の一流」にしようと、独特の教育をしたミスブロウディ。だが、彼女の教育は名ばかりで、その割に生徒への影響は大きかった。でも、ミスブロウディが「我が人生最良のとき」と語る日々と生徒たちの言動の微妙なずれ。その背後に重くのしかかるような戦後のエジンバラの暗さ。ミスブロウディにとって、教育とは、生徒とは何だったのだろう。2016/12/18

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